県道6号線をひた進み、268号線を経てようやく雲辺寺までの最後の坂へ合流して、ゆっくりと進みながら左手に目を向けると、雲の切れ目には青空が覗き、四国の山々がどこまでも続いていました。
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雲辺寺からの下りはロープウェイを使う事を選択しましたが、「これでよかったんだ」と、足の怪我のお陰でこれまでの要らぬこだわりに気付く事が出来ました。
人は自分の思い通りにならない事に直面した時、怒りや落胆、不安や悲しみといった感情が湧きますが、今回の怪我のように自分の体すら自分の思い通りに出来ないのに、どうして外界のあれこれが自分の思い通りに出来るのか、と。
人間の一生の中で、本当の意味で自分の思い通りになっていることなど実は殆ど無いのではないかと、そんな事を考えながら歩いていました。
14時半頃、雲辺寺へ到着。雨後の為か冷んやりとした山上の御寺様特有の空気が、ここまで頑張ってくれた体を心地良く包んでいました。
境内にはお遍路さん以外の参詣者の方々も多く、例のブランコを目当てに上がってくる方もいらっしゃるようで割と人は多く感じられました。
到着時には陽が出ていたものの、数分後には一転雲に覆われたりと、この繰り返し。
晴れていたらブランコを見に行ってみようかと思っていましたが、結局参拝を終えた後は雲が勝ち、辺りは霧に包まれて小粒の雨も降り始めていました。
今回は御縁が無かったと諦めてロープウェイ乗り場へ。
高度を下げて行くと徐々に雲を抜け、眼下に広がる風景の中にあるこの先の札所、神恵院や観音寺、寛永通宝の砂絵や点在する溜池などについて添乗員さんからのアナウンスを聞きながら。
この地方は全国的に見ても降雨量が少ない為、渇水対策として溜池が整備されたとの事。
麦作が盛んな理由も天候が関係しているのかなと想像していると、あっという間に麓へ到着。
下りの遍路道は約3kmほどですが、ロープウェイでは僅か10分程の乗車時間でした。
ここから萩原寺までもう一足。溜池や養鶏場を横目に歩き、16時半少し前に到着。
参拝を済ませて納経所へ向かうと17時まで残り10分。ロープウェイを使ってこの時刻だったので、徒歩で下りていれば確実に間に合いませんでした。
納経を済ませて当日の宿「四国路」さんまで更に6km程。手前のコンビニで食糧を買い出して向かいました。宿に着いたのは確か18時半を回っていたと思います。宿主様が笑顔で迎えて下さり二階の部屋へ。
有難い事に何とか無事宿まで辿り着く事が出来ましたが、階段を降りるだけでもビリビリと痛みが走り、症状が悪化しているであろう事を窺わせていました。
明日はいよいよ駄目かもしれないと思いつつ、それでも回復を願い早々に床に着きました。
コメント
毎日歩いているのでマメやケガは全然治らないですが、もはや治そうではなくどうやって付き合っていくかを考えてました。痛み止め薬で誤魔化す、違う事を考えて紛らわす、傷まないような歩き方に変えるなどを試したのですが、結局最後まで痛みが治まる事はなかったです。家に帰って休息しているとすぐに治りました。遍路中でも休息日をもうければいいのでしょうが、やはり痛みを我慢してでも先に進みたくなります。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
私も同じく、この回の区切り打ちを終えて帰宅後、1ヶ月程で足の痛みは自然に消えてしまいました。
痛みを感じている自分と、それでも歩こうとしている自分と、その二つを俯瞰している自分と。
「自分」という変わる事の無い芯の様なものは一体何処にあるのかと考えてしまいます。