#72 奥宮頂上社

#72 奥宮頂上社

用足しを済ませ自販機で水分を買い足して先へ。成就社から山頂まで4km弱。「八丁坂」と呼ばれる道を一度下り、その後登りへ。
鬱蒼とした森の中を行くというよりは所々で木々が途切れ周囲の山並みが見えたりと、気持ちの良い道という印象でした。

成就社を出発して1時間程。目の前に現れた、この先に待ち受ける「一の鎖・二の鎖」へ向けての「試しの鎖」。登り口には「登り48m 下り19m 迂回路約97m約3分」と記された立札。

金剛杖をバックパックと背中の間に一文字に刺し、崖に掛けられた鎖を手繰りつつ一歩一歩確かめながら上へ。
体からはみ出した分の杖が周囲の木々や岩につっかえて少し登り難く、ここは伸縮式ストックの方が安全かも知れません。

登り切ってからの下りは更に神経を使ってゆっくりと。なんとか「試しの鎖」を越えられ、これなら「一の鎖・二の鎖」も行けるだろうかと先へ。

夜明峠と呼ばれる分岐から先は徐々に勾配が急になっていきました。この辺りも左右に絶景が続いています。
「一の鎖」を越えて少し行くと行手に頂上山荘と思しき建屋と、その下の岩場をへばり付くように登って行く登山者の姿が見え、その光景に思わずニヤリ。
これは登り甲斐がありそうだとワクワクしながら進み、小さな鳥居を潜り「二の鎖」前へ。

さていよいよと、鎖の下で順番を待っていると突然「落石!」の声。
何だ何だと見上げていると数メートル離れた場所に、ドーンと石の落ちた音。
少し遅れて「すみませーん」と上からの声。先行していた登山者が誤って落としてしまった様でした。
ある程度の山ではヘルメットなども必要なんだなと、改めて登山に対する認識の甘さを感じました。

「二の鎖」序盤は小蝿が凄まじく黒い霧の様に視界を遮り、目や口の中に入って来るのを何とかやり過ごしながら鎖を手繰って上へ。当日は好天だった事もあってか、多くの方が鎖に挑戦されていました。

先行者の登り具合を見ながら、ゆっくりと後に続き更に上へ。そして14時半頃、山頂へ到着。

山頂には石鎚神社奥宮頂上社の御社と社務所、頂上山荘があり、少し離れた先に天狗岳が見えていました。

山頂付近を漂う雲と目線が合う不思議な感覚。
遠くに雲が出ていたものの、四方のどこに目を置いても彼方まで絶景が広がっていました。

山荘へ到着の旨を告げ、荷物を置かせて頂き天狗岳へ。足がすくむような切り立った岩場を慎重に進み、いよいよ最高峰へ。
天狗岳の頂上には小さな祠と「1982m」と抜かれた鉄板が置かれていました。

祠の前で合掌していると、自然と口を突いて出てきた般若心経をそのまま一誦し、弘法大師御宝号を七遍。
自分の力でここまで登ったという感覚があまり無く、何かに引っ張られている様な、後ろから押されている様な、不思議な感覚でした。

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コメント

  1. これは見事なほど急な鎖場ですね。でも不思議とその鎖を掴んで挑戦してみたくなる気持ちになりました。このくらい晴れていると問題ないのでしょうが、天候もかなり影響すると思いますので日頃の徳を積んでおきます。

  2. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    鎖の行場を目前にした時、少し面食らいましたが、仰る通り挑戦心を掻き立てられますね。
    当日は有難い事に天候にも恵まれ、素晴らしい景色を拝ませて頂けました。本当に感謝感謝です。

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