ここ数年、毎年の様に真夏の最高気温の上昇が話題になり、体温を超える様な地域も各地に見られたりと、明らかに気候が変わってきているのだと感じます。
居住地と四国の気温差はほとんど無いのですが、それでも四国の夏はどこか暑く感じます。
三度目となった夏の徒歩巡礼。過去二回を振り返れば、其々に思い出が残っています。
前年よりも更なる高温が予想されていた今夏。一体どんな旅になるだろうかと地図を見ながら歩く道を想像し、八回目の準備を進めていました。
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連休二日目の羽田空港はいつもよりやや空いているように感じ、毎回のらりくらりと並ぶ手荷物預けと保安検査も、今回はすんなりと通過出来ました。
羽田から初めての高松空港へ。
ターミナルの建物から外へ出ると、暑さはあるもののカラリとした空気を感じ、過去二回の夏遍路とは何か違う感じになりそうだと、なんだか嬉しくなりました。
今年のお盆の長期休暇九日間を使えば霊山寺、あわよくば高野山まで辿り着けそうでした。
しかし早る気持ちを抑えて、この回は八十六番志度寺で打ち止め、残りは年末年始へという行程を組みました。
空港から綾川駅へ向かうバスから見える"涅槃の道場"讃岐国は良く晴れていて、台地の様な形の山が彼方に見えていました。
綾川からは琴電に乗り琴平へ。流れる景色の中にはポコポコと錐型の山。一度見たら忘れない甘食の様な独特な形は、この地方ならではでしょうか。四国四県それぞれに違った表情が有り面白いものです。
善通寺駅到着後、手早く着替えを済ませて前回最終札所の善通寺へ。湿度は低いものの陽射しは強く、ああ、また四国の夏へ帰って来たんだと、ジリジリと肌を焼く陽を懐かしく感じました。
善通寺東院に入り本堂へ。堂内で参拝していると、遠くで鳴く蝉の声が読経と相まって不思議な調和。開け放たれた扉から流れる涼やかな風が、汗ばむ肌を冷やしてくれました。
東院の塀伝いをゆっくりと歩きながら、ずらりと並ぶ五百羅漢像を拝観。黒松の木陰に入ると、境内を吹き抜ける風の一層の涼しさを感じました。
11時半に善通寺を出発。
先ずは別格十七番神野寺へ向かいますが、この日は初日ということもあり、足慣らしで金刀比羅宮近くまで。只、それだけでは味気ないので、二十数年ぶりの金刀比羅宮参拝で足を揉んで頂こうかと考えました。
土讃線の線路際をひたひたと歩き、金刀比羅宮へ到着。曖昧な記憶を辿りながら、こんなに賑やかだったかなと商店が並ぶ参道を抜けて無限階段の始まり。善通寺から休憩を取らずそのまま金刀比羅宮の階段へ突入したので、大門に着く頃には息が上がり太腿がパンパンになっていました。
さらに上がって神馬の居る場所。隅のベンチで靴を脱ぎ暫く休憩。水分が残り僅かになりこの先で手に入るかなと気掛かりでしたが、少し上がった場所に臨時のテントが設けられ水が売られていたので有り難く購入させて頂きました。
境内に自販機はありません、熱中症に御注意下さい、との放送が定期的に流れていました。
本宮まで上がり参拝を済ませて、いざ奥社へ。ここから更に583段。何とか登り切って奥社へ14時過ぎに到着。参道入り口から数えて1368段。"足を揉んで頂く"にしてはちょっとやり過ぎたかなと思いつつも心地良い汗と達成感に浸り、二十数年ぶりの良き思い出となりました。
下りは良い良い。顔を赤くしながら息を切らせて上がって行く登りの方を横目に、心の中でエールを送りながらあっという間に階段下の参道へ到着。
以前の投稿で中学生の頃、父親と車で四国を回った際に金刀比羅宮を訪れ、うどんを食べた事を書きましたが、その店がどこだったかと断片的な記憶を頼りに、階段すぐ傍の「こんぴらうどん」さんへ入りました。
当時、大きめに削られた鰹節が乗った温かいうどんに生醤油をかけた初めての食べ方と、そのあまりの美味しさに感動したのを今でも覚えています。
確かこの店だったようなと案内された席に着くと、見覚えのある長テーブルと店内の光景。今回は冷やしのぶっかけを頂きましたが、シコシコとした麺を噛む毎に、ああ、間違い無くここだったと確信が湧いて来ました。
当日の宿は参道にある「コトリコワーキングスペース」さん。シャワーを浴びて洗濯を済ませ、外へ出て周辺を散策。
たまにはコンビニ食ばかりでは無く御当地グルメというものを食べてみようかと、晩御飯は「田中屋」さんの骨付き鳥を。
翌日は早目の出発だった為、21時頃に就寝しました。
コメント
私も区切りで回りましたが、前回の終点場所まで戻って再スタートするのが毎回気持ちよく感じていました。金比羅さんも幼い頃から気になっていた場所で、遍路とは別でもいつか登ってみたいです。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
前回の最終地点に立つと、そこまで歩いてきた道を思い出しつつ、この先の道を想って気持ちが入りますね。
金刀比羅宮の階段はなかなか手強いですが、登り切った上からの眺めも素晴らしいので是非訪れてみて下さい。