翌二日目は2時起床の5時出発。
夏至はとうに過ぎましたが、この頃になって日の出が遅くなった事を如実に感じる様になりました。
部屋の隅にある四角い小さな窓から見える空は出発間際まで黒々としていたものの、宿を出て歩き出す頃には街灯に頼らなくても道が見える程度に明るくなっていました。
地元ではじっとりと重く感じていた朝の空気も、香川の気候もあってかやや過ごし易く感じ、暑さも峠を越えたかのかなと朝焼けの空を時折見上げながらてくてくと神野寺へ。
行く道の所々では色付いた稲穂に蜘蛛の糸が無数に掛かり、そこへ降りた露が朝陽を受けて輝いていました。
1時間半ほど歩いて満濃池に到着。
朝の陽を穏やかに映す水面に暫く見入り、池の畔に立つ神野寺へ。地元の方と思しき方々が談笑する脇を通って境内へ入ると、本堂はすぐに分かりましたが大師堂はどこかなと、先に参拝を済ませていた方にお聞きすると、
「左に少し上がった所にお大師様の像があるから、それが大師堂の代わりだよ」
と教えて下さいました。
本堂での参拝を済ませ、教わった通りに左手に少し坂を上がると、満濃池の方を見つめる様に弘法大師像が立っていました。御前には納札箱や香台など御堂前の設え。
なるほどと、傍のベンチに荷物を下ろして読経。背後の満濃池へ向き直り、改めて弘法大師の仕事が現代まで続いている不思議を想いました。
満濃池の淵を右へ左へと少し歩いて散策し、来た道を戻って金倉寺へ。午前も終わり近づくと陽が強くなり、やはり夏という陽気に。
腰に差したペットボトルの水がお湯のように熱く、この辺でちょっと休憩をとコンビニに立ち寄って水分を補給。連休中の為か往来の多い県道を進んで金倉寺へ到着。
広々とした境内。どっしりとした大楠。独特な形の鐘楼。これまで見て来たどの札所とも違う雰囲気に、それぞれに違った趣があって良いなと境内をうろちょろ。
参拝を済ませてそろそろ昼食をと山門を出ると、道沿いに良い感じの暖簾を見つけて中へ。
小綺麗なお店も良いのですが、「はなや食堂」さんのような味のある店内の方が私には馴染むようです。冷やしとぶっかけの二杯を頂き、海岸寺へと向かいました。
コメント
大師様のまんのう池の話は遍路の途中で知りました。88ヶ所限定旅でしたので神野寺には寄りませんでしたがこれほど大きな池だとは知りませんでした。
空海にまつわる、いささか都市伝説的な話も色々ありますがそれでも大きな浪漫を感じその物語を想像して楽しんでます。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
弘法大師、延いてはお釈迦様の伝承についても手放しで信じる事が難しいものもありますが、そんなファンタジーの様な話も含めて浪漫がありますね。
満濃池に至るまでの道中で目にした田畑も、この池の治水があってこそなのだと思うと、正に偉業なのだと思い、それを維持してきた人々を想うと本当に不思議な気持ちになります。