湿り気の薄い乾いた空気でも四国の夏はやはり暑く、ここ香川も高知や愛媛とはまた違う熱気を感じていました。
金倉寺から海岸寺へ向けて、ひたひたと国道を歩きながら左に首を振ると、五岳山と我拝師山に埋め込まれた捨身ヶ嶽の御堂。前方には裏手に弥谷山を背負う天霧山が迫っていました。
弘法大師空海、幼少の真魚様も、古今違いはあれど、この風景を見ていたのかなと暫し足を止めて。
道中、仏母院へも立ち寄ろうと探しながら歩くも見つけられず、とりあえず海岸寺へと足を向けていると、その伽藍と思しき重塔の屋根が行手に見え、それを目印に歩いて行きました。
かなり近づいた筈が山門なども見当たらず、とりあえずと脇の方から境内へ入りますが、何か様子が違うなと樹木の手入れをされていた方にお聞きすると、ここは奥の院で本堂は少し離れた場所との事。なるほどと、ひとまず参拝を済ませて少し離れた本堂のある場所へ。
海沿いの道を少し歩くと御寺様らしき影が見え、御門の前に立つと金剛力士ではなく力士、"お相撲さん"の像が一対。こちらは昭和三十年代に活躍した地元出身力士の琴ヶ浜と大豪との事。
参拝後に裏手の海岸へ出ると、海水浴や浜辺を散歩する人々の姿。暑さの中にも穏やかな夏の風景が広がっていました。
堤防の辺りから奥の院の方を振り返ると、ニ重塔の更に右手奥に御堂の屋根らしきものが頭を出している事に気付き、行ってみる事に。
奥の院の脇から坂道を上がって行くと文殊堂が現れましたが、あまり人は来ないのかやや荒れた感。更に上へと上がると、多度津港や海沿いの街並みを見る事が出来ました。
その後、再び海岸寺本堂の方へ戻り、納経所で仏母院への道をお聞きすると呆気ないほど簡単な道順で到着。先にお参りの方と入れ違いで灯明と線香を献じて般若心経を一誦。
時刻は14時過ぎ。この時間帯が暑さのピークで手持ちの水が底を付き、何処かで補給をと前方に目を凝らしながら進んでいると、仏母院からすぐの自販機に助けられました。
そこから少し進んで、弘法大師空海の御出身である佐伯家の守護神、熊手八幡宮へ参拝。
この日、満濃池から善通寺を通り多度津へと歩きましたが、この地が正に弘法大師空海の里なのだと、改めて感慨深いものがありました。
当日の行程としては然程の距離でも無く山道も無い一日でしたが、熱射に晒されているだけで体力を消耗する事を如実に感じ、終盤は多度津駅を目指しながら歩速を少し落としてゆっくりと歩いて行きました。
16時少し前に駅前の「ホテルトヨタ」さんに到着。
体が糖分を欲していたので駅前のコンビニで夕食を爆買いしてしまいましたが、どれだけ食べても日増しに体重が落ちていく歩きの巡礼は、日頃の怠惰な体を絞るダイエット期間であったりもします。
コメント
香川県に入ると札所間も短く、終わりが近づいてくる実感がありましたが、別格にも寄ってみるともっと楽しめますね。この海岸寺も空海にゆかり深いお寺さんのようですのでぜひ寄ってみたいです。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
まんのう町から善通寺、多度津は山や海も近く、本当に良いところだと思いました。
弘法大師空海にまつわる伝承は日本各地にありますが、やはり生まれ育った場所というのは、その足跡が色濃く残っているように感じます。
海岸寺裏手の浜辺や奥の院上からの眺めもおすすめです。機会がありましたら是非訪れてみてください。