翌日。
この日は八十番国分寺付近までの行程と余裕もあり、七時過ぎに宿を出発。先ずは七十七番道隆寺までの1km程を体をほぐす様にゆっくりと歩いて行きました。
行手に御寺様の伽藍が見え、山門はどこかなと道の反対側で信号を待ちながら辺りを見回していると、向かいの信号の側に立っていた警察の方が
「ここから入って、ぐるっとあっちへね」
と案内して下さいました。
歩いて来た県道側は御寺の裏手だった様で、教えて頂いた通り小さな門を潜って進むと本堂、大師堂の前へ出ました。
2年程前から道隆寺御住職の投稿で拝見していた御堂の姿に、ついにここへ来たんだなと、四国遍路を歩き始めた頃を懐かしく思いました。
朝もまだ早い為か、参拝の方は一人二人ほど。各御堂で読経を済ませ、想像していたよりも広い境内をゆっくりと歩きながら拝観して納経所へ。
御対応下さったのは御住職様だったのかも知れません。押印墨書して頂きながら声をお掛けしようかと思いつつ、この時季は何かとお忙しいかもと納経帳を受け取り外へ。出発の為荷物を纏めていると、鞄を手に車に乗って出掛けて行かれました。
こんなに立派な山門だったのかと、門前で本堂へ向き直り一礼。外塀を回って歩いてきた県道へ戻り郷照寺を目指しました。
道隆寺を後に郷照寺へと向かいながら、このままのペースで行くと今日の最終札所国分寺到着は14時頃。流石に早すぎると思い、それならば天皇寺の後に五色台へ上がり、白峯寺を打って国分寺へ下ってみようかと、行程を見直してみる事にしました。
郷照寺へ着くと、お盆のお参りの為か、境内奥の墓地へ向かう方が多いように見受けられました。納経所の脇からは瀬戸大橋がくっきり。参拝を終え休憩もそこそこに天皇寺へ。
天皇寺へは6km程。時代を感じさせる商店街を抜け、ひたひたと進んでいると行手に台地の様な山型が見え、あれが五色台かと。
「八十蘇場の清水」という霊跡の前を通ると、心太を啜る方々の姿がありました。
この暑さの中ではさぞかし美味しいんだろうなと足を止めていると、丁度お店から出てきた心太屋の方に念の為に道をお聞きし、教えて頂いた通り少し先の神社の裏手から入ると、そこがもう天皇寺の境内でした。
特徴的な朱塗りの鳥居。ジリジリとした陽に焼かれ滴る汗を拭いながら参拝後、白峯寺へ向かう決断をしました。
正午を過ぎて昼食はどうしようかと歩いていると、横を追い越して行った車が少し先の空き地でUターンして止まり、ドアが開きました。
何かなと近くまで来ると「お接待させて下さい」とお声を掛けて頂きました。
少し手前で私を見かけて慌てて近くの自宅へ戻り、飲み物を取って戻って来られたとの事。
暑い中そこまでして下さるお心遣い。本当に有難い事です。
これまでにも何度かお接待をされ、その都度お遍路さんとお話しするのが楽しみとの事。
息子さんも車で回られているそうで、どうぞ御安全にと改めて御礼を申し上げて白峯寺へと向かいました。
白峯寺を目指しながら何処かで昼食をと途中のコンビニに立ち寄り、うどんとおにぎりでお腹を満たしていざ五色台へ。
序盤は車道を上がり、途中から外れて山道へ。
山道と言っても道が整備されていて難儀はしませんが、中々の階段に迎えられ、初日の金刀比羅宮を彷彿とさせる道でした。
登り切って白峯寺到着。山門前で息を整え本堂大師堂のある場所まで少し登って。
納経所で国分寺までの道を念の為確認すると、遍路道を歩いて約3時間くらいとのお話し。山門を出て遍路道へ入ったのは15時過ぎ。足を止めずに歩いて国分寺の納経所が閉まるまでに間に合うかどうか。
序盤はやや登りが続き、根香寺と国分寺への三叉路から先は平坦な道へ。一旦車道を横切りそこからは遍路転がしの下り道へ。
明日はこれを上がってくるのかと、一段一段確かめながら降りて行きました。
下り切って平地へ出ると時刻は16時半過ぎ。御寺様はどこかと探しながら歩いていると伽藍と思しき屋根の姿。そちらへ進むも住宅街の行き止まりなど、あっちへこっちへ誘われて。
なんとか国分寺へ到着し山門へ近づくも既に門は閉ざされていて、よく見ると入山は16時半までと記されていました。
そうかそうかと、何か清々しい気持ちに満たされ、「精一杯歩いた」と一人笑いました。
途中のドラッグストアに立ち寄りながら当日の宿「国民旅館せと」さんへ。
当日の宿泊は私一人でしたが、宿主御夫婦が温かくお迎え下さいました。
頑張って開けて下さっていると分かる佇まい。本当に有難い事です。
雨風を凌げる。横になれる。食事を頂ける。
普段当たり前だと思っていることは、何一つ当たり前ではないのだと改めて心に刻みました。
コメント
国分寺から登る白峰寺への坂道はかなりの急坂でへとへとに疲れました。その道を逆に下っていかれるのも大変だったかと思います。次の根香寺へは再びそこを登られたのか、はたまた別のルートなのか、、、次回を楽しみにしております。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
仰る通り国分寺から五色台へ上がるへんろ転がしは中々という印象でした。
丸太で土留めされていて歩き辛さはそれほどでも無い様に感じましたが、短距離で標高が上がっていくので中々ハードですよね。
次回も御覧いただければ幸いです。