
八栗寺からの下りは舗装された車道を歩きましたが、ここも中々の勾配で再び足先に危うさを感じ、右に左にと蛇行しながら下りて行きました。
下り切って平地へ出ると、さらに強さを増した容赦無い陽射し。暑さよりも刺すような痛みを感じながら志度寺へ向けてひたひた。
さすがの暑さに、ちょっとこの辺でと海沿いへ出て小休憩。潮の香りが心地良く、「ピーヒョロロー」と声を響かせて天高くトビが舞っていました。
志度という町については全くの無知で、道すがらに現れた建物に平賀源内ゆかりの地と知りました。四国を歩いていると歴史に名を残す人物の足跡があちこちに残されている事に驚かされます。
そこから古い街並みを抜けて志度寺へ到着。
境内は鬱蒼とした木々に覆われた今までに無い独特の雰囲気。夕方の為か人気も無く静かで、このくらいの時間帯も良いなと迷路のような参道を進み本堂へ。
本堂での読経を済ませて後ろを振り返ると、小さなお子さんを連れた外国の方がベンチに座っていました。笑顔で手を振ってくれるお子さんに、こちらも笑顔で手を振り返して。
言葉は無くても伝わる何か。
皆がこうして笑顔で挨拶を交わせる。
そんな世界だったらと。
志度寺を後にJR志度駅へ向かい、新幹線の運行状況を確認して駅員さんと二言三言。駅近くのコンビニで水と軽食を買い出し、当日の宿である「以志や」さんへ。歴史を感じる日本家屋の二階の御部屋に御案内頂くと、廊下の歪んだガラスから見える中庭の様子もまた良く。
この八回目の区切り打ち計画当初は、志度寺で打ち止めるつもりでした。しかし台風による足止めもあり、四国を発つまでにもう少し時間が取れそうだと、翌日岡山へ出る前に次の長尾寺まで進む事に。
翌朝。
朝食を頂き、宿主御夫妻に御見送り頂きながら出発。長尾寺まで約7km 。
ゆったりと歩きながら、考えてみればいよいよ八十七番かと、これまでの道中を想い返していると鴨部川沿いへ。
すれ違う人も車もほとんど無く静かで、しっとりとした暑さと長閑な風景。
まだ気は早いですが、この旅も終わりなのだと、歩きながら少し沁みじみ。
過去、幾多の人々が何を思いながら、この道を行ったのかと。
長尾寺へ到着して参拝後、山門傍の大楠の下へ。他に参拝の方は無く、閑かな境内。
青天に白雲
手水舎の水が滴る音
楠の葉がさらさらと風に揺られ、遠くから微かに聞こえる蝉の声
楠の下、ベンチに腰掛けて暫くぼんやりとしながら、ここまで四国を巡って来て、どれくらいこんな時間があっただろうかと思い返していました。
限られた日数の中での巡礼となると、どうしても行程を組んで急ぎ足のようになってしまいますが、出来る事なら時間や日数を気にせず、簡素な荷物と寝袋を担いで、歩きたい時に歩き、眠くなれば寝て、気の向くままに寄り道をしたり足を止めてみたり。
そんな歩き方をしてみたいものです。
着替えを済ませてすぐ近くの琴電長尾駅へ。
今回の巡礼は長尾寺で打ち止めとしました。
更に残り2日を使って大窪寺、大瀧寺を打つ事も可能かとは思いましたが、ここは逸る気持ちを抑えて最後はじっくり行こうと、残り二ヶ寺は次回へ。
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琴電長尾線に乗り高松へ出て岡山へ。
東海道新幹線は翌17日に運行再開との事でしたが、せっかくだからと駅前に二泊宿を取りました。
岡山は二十年ほど前に訪れた御縁のある土地。
後楽園や路面電車の姿を懐かしく思い、岡山城や倉敷美観地区、児島を巡り、18日午前に岡山を後にしました。
次回、第九回は2ヶ月後の年末年始の予定です。
無事四国へ入ることが出来れば、四国遍路徒歩巡礼区切り打ち最終回になるかと思います。
コメント
これまた残りわずかで区切りられたのですね。さぞ次回まで待ち遠しいでしょう。しかし先のことを考えずにじっくりと進めるのもいいですね。良い結願になりますように。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
回り切りたいと思う反面まだ終わらせたくないという思いもあり、この様な区切り方となりましたが、結果的にこれで良かったと感じています。
次回まで約2ヶ月。これまでの道を想い返し、今一度、心と体を整えて臨めればと思います。