
ビジネスホテルを出発
徳島駅前のビジネスホテルを朝に出発。昨日までの民宿や宿坊とは違い、冷房の効いた部屋と柔らかいベッドで眠れたおかげで、体の疲れが少し和らいでいた。シャワーを浴びたあとの爽快感もあり、足取りは軽い。駅前の通勤風景のなかをリュックを背負って歩くと、「自分だけ別の時間を生きている」ようで、どこか場違いな感じがした。けれど、それもまた旅の一部なのだと思うと不思議と前向きな気持ちになる。
駅前から恩山寺に向かう。繁華街を抜けると、ビル群や人の流れが急に薄れていき、代わりに国道沿いの田んぼが広がる風景に。その変化を眺めながら、「人混みより田舎の空気のほうが、自分には合ってる気がする」と感じた。
恩山寺、竹林を抜けて井戸寺へ
最初に訪れたのは恩山寺。山門までの参道は木々に囲まれて涼しく、自然と呼吸が深くなる。境内は静かで落ち着いた雰囲気で、昨日の山道の疲れが一瞬和らいだような気がした。そこから井戸寺までは距離が短いと聞いていたが、実際には竹林の中をしばらく歩く。風に揺れる竹の葉がさわさわと鳴り、時折「カカカッ」と幹同士がぶつかる音に驚かされる。その後しばらく車道を歩き、あれこれ考え事をしているうちに、気がつけば井戸寺の境内に着いていた。短い道のりだったが、自然の変化や静けさに包まれた時間は思った以上に濃かった。
鶴林寺ふもとの民宿へ
勝浦町に入り、宿に入るには少し早かったので、時間調整を兼ねて道の駅に立ち寄った。地元の農産物だけでなく、惣菜や鮮魚も並んでいて、思わず五目のおにぎりを買ってその場で食べた。歩き疲れた体に塩気がしみて、ちょっとしたご褒美のように感じられた。
その後、鶴林寺の登り口近くの民宿へ。ここまでの道はおおむね平坦で歩きやすく、足にじわじわと疲労は溜まっていたものの、昨日のように息が切れることはなく、穏やかな気持ちで歩けた。到着すると女将さんが迎えてくれて、「明日は鶴林寺やけん、焦らず登ったらええよ」と声をかけてくれる。その言葉にふっと肩の力が抜けた。
今日の学び
昨日までの「時間との戦い」と比べて、今日は余裕を持って歩けた。歩き遍路は毎日同じ調子ではなく、山の日もあれば平地の日もある。リズムに身を任せて一日を楽しむことも大事だと感じた。
また、朝の繁華街をリュック姿で歩くと、自分だけが違う世界に迷い込んだような違和感があった。でも、その違和感こそが「非日常」を歩いている証拠であり、日常を離れているからこそ味わえる感覚なのだと思った。反面、どこにでもあるコンビニに立ち寄ると、便利さや安心感に救われる自分もいた。歩き遍路は、非日常と日常、その両方を行き来する不思議な旅なのだと改めて思った。


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