16日目:海の上を進む日(浦ノ内▶中土佐)

16日目:海の上を進む日(浦ノ内▶中土佐)

巡航船

浦ノ内の宿を出て、今日は歩きではなく巡航船に乗る。
地図で見ても海沿いはとにかく遠い。今日は船に乗ることを楽しみにしていた。

乗り場は始発の港ではなく、航路の途中にぽつんとある小さな桟橋。
時間になってもなかなか姿が見えず少し不安になるが、静かな海の向こうから船がすっと現れた。「本当に来た」と、思わず感動してしまう。

船は思っていたより小さく、観光船というより完全に生活の足といった感じ。
それが逆にちょうどよかった。船長ともほとんど会話はなく、淡々と、静かに出航する。

エンジン音と、水面を切る音だけが響く。
歩き遍路では味わえないスピード感なのに、不思議と急かされる感じはない。ただ遠くの景色が横に流れていくだけ。陸から眺めていた海を、今日は海の上から見ている。その事実だけで、今日は少し特別な一日になる気がした。
 
 

須崎と安和

須崎に着くと、町の雰囲気が一気に変わる。
宿の人から須崎ラーメンが有名だと聞いていて、正直かなり心が揺れた。でも結局、今日もいつも通りコンビニで昼を済ませた。やっぱりこういう「いつもの選択」に落ち着いてしまうが、何故かいつもその土地の限定味のおにぎりが並んでないか探してしまう自分もいる。

安和からは、国道を離れて山側を通る遍路道ルートもある。
ただ今日も無理をせず、国道を選んだ。アップダウンは少ないが、とにかく単調で長い。車が横を通り過ぎるたびに、さっきまでの静けさから現実に引き戻されるような感覚になる。変化や発見を求めるなら遍路道を通るほうがいいだろう。とにかく国道は何も起こらない。

それでも歩き続けていると、ようやく中土佐の町が見えてきた。
漁師町らしい空気と、夕方に向かって落ち着いていく雰囲気。派手さはないが、今日の終わりにはちょうどいい。

宿に着いて荷物を下ろすと、いつもと違う感覚に気づいた。
歩いた距離はそれほどでもないのに、今日は船に乗った特別感がその理由だろう。
 
 

今日の学び

今日は初めて、自分の足ではなく乗り物で先に進んだ。
自分の力で進まない時間を挟むことで、逆に歩く意味もはっきりした気がする。

最後まで完全自力、歩きだけにこだわるのも悪くないが、もしかしたらただの意地や見栄も混じっている気がする。
歩くこと自体よりも、歩く以外の選択肢を挟んだり、いつもと違う出来事があること。
そういう変化やイベントが、旅の充実を感じるんだと思った。

 
 

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