
大洲
大洲のビジネスホテルを出る朝、昨日の疲れはまだ少し残っていた。
40キロ歩いた翌日なので当然だが、不思議と体は動く。歩き遍路を続けていると、多少の疲れはそのまま持ち越したままでも進めるようになる。
町を抜けると、すぐに日常の景色から外れていく。
昨日の夜に見た大洲の町の明かりとは違い、朝の道は静かで、少し現実味が薄い。
また、いつもの「歩きの時間」に戻った感じがした。
内子
大洲から内子方面へ向かう道は、国道と旧道が入り混じる。
車の多い区間もあるが、少し外れると一気に静かになる。古い町並みや、手入れされた田畑が続き、愛媛らしい落ち着いた風景が広がっている。
途中、十夜ヶ橋に立ち寄る。
空海が野宿したと伝えられる場所で、橋の下にはそのときの様子をしのばせる空間が残されている。実際に立ってみると、思っていたよりもずっと低く、静かで、ひんやりしている。ここで夜を過ごしたのかと思うと、少し現実感が薄くなる。
今の自分は宿を取り、食事もできている。
それでもこうして歩いているだけで大変だと感じるのに、昔の遍路はどれほど厳しかったのか、ふと考えさせられた。
内子の町に近づくと、人の気配が少しずつ戻ってくる。
観光地としても知られている場所だけあって、これまで歩いてきた村や集落とは少し雰囲気が違う。
ただ、それでも都会というほどではなく、どこか時間がゆっくり流れている。
歩いていると、観光地の中心に入ることなく、そのまま通り過ぎる形になる。
立ち寄ろうと思えば寄れるが、今日はそのまま先へ進むことにした。
田度
内子を抜けると、再び人の少ない道に戻る。
車の通りも減り、音も少なくなる。気づけば、自分の足音と呼吸だけが一定のリズムで続いていた。
このあたりは、特に大きな出来事はない。
坂を上り、また下り、似たような景色が続く。それでも、なぜか嫌ではない。歩き続けていると、こういう「何も起きない時間」が、かえって心地よくなる。
午後、田度の集落に到着する。
派手さはないが、今日一日の終わりとしてはちょうどいい場所だった。
無理に進まず、ここで止まるという選択も、自然に受け入れられるようになってきた。
今日の学び
今日は、大きな出来事は何もなかった。
観光地に寄ることなく通り過ぎ、特別な景色もなく、ただ歩いただけの一日だった。
でも、こういう日があるからこそ、旅は続いていく。


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