28日目:寺寺寺(岩屋寺▶道後)

28日目:寺寺寺(岩屋寺▶道後)

三坂峠

岩屋寺近くの宿を出る朝。
今日は松山方面へ向かう。まずは三坂峠越えだ。

前日の峠越えの疲れも残っていたが、不思議と足は動く。歩き始めると、山の冷たい空気が眠気を追い払ってくれる。三坂峠への道は長いが、これまでいくつもの峠を越えてきたせいか、以前ほど構えることはなくなっていた。

登るにつれて景色が少しずつ変わる。
振り返ると山並みが重なり、その向こうに歩いてきた道が続いている。峠に立つと、ここから先はいよいよ松山だという実感が湧いてきた。

急で長い坂道だったが、下りきると徐々に人の気配も増えてきた。
三坂峠は、静かな山の遍路道から、再び町の遍路へ戻る境目のような場所だった。
 
 

次々と現れる札所

その三坂峠を下りると、46番浄瑠璃寺に到着する。
ここから先は札所が次々と現れる区間だ。

浄瑠璃寺、八坂寺、西林寺、浄土寺、繁多寺。
今までのように「次の札所まで何十キロ」という感覚ではなく、歩いていると次のお寺が現れる。

最初は新鮮だった。
しかし参拝を重ねるうちに、不思議な感覚になってくる。これまで一つのお寺に着くまで何時間も歩いていたので、少し歩けば次のお寺があるという状況に体が慣れない。

それでも、それぞれのお寺には違う空気がある。
参拝を終え、納経所へ向かい、また歩き出す。その繰り返しが、今日は一日のリズムになっていた。
 
 

石手寺と道後の夜

最後に石手寺へ到着する。
ここまで来ると、周囲の雰囲気も完全に街だ。観光客の姿も多く、これまで歩いてきた山の札所とはまるで違う。

石手寺の境内は広く、人も多い。
遍路姿の人もいれば、観光で訪れている人もいる。同じ札所なのに、ここだけ別の世界のようだった。

参拝を終えると、そのまま道後方面へ向かう。
道後温泉周辺は想像以上に賑やかで、人通りも多い。ここまで何日も静かな道を歩いてきたせいか、その活気に少し戸惑う。

今夜は道後のゲストハウスに宿泊。
宿に着いて荷物を下ろすと、久しぶりに「町に泊まる」感覚が戻ってきた。山の宿や農家民宿とは違う空気が新鮮だった。
 

今日の学び

今日は、一日でたくさんのお寺を参拝した。

歩き遍路を始めた頃は、「早く次のお寺に着きたい」と思っていた。
でも今は、お寺が近すぎると少し物足りなく感じる自分がいる。

歩く時間が長いからこそ、札所に着いたときのありがたみが大きくなる。
そんな感覚が、いつの間にか自分の中にできていた。

 
 

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