17日目:不思議な一日(中土佐▶窪川)

17日目:不思議な一日(中土佐▶窪川)

大坂遍路道

中土佐の町を出て、今日は大坂遍路道を選んだ。
いつもなら国道を行くところだが、少し遠回りになっても、きちんと山の遍路道を歩いてみたかった。町を離れると家並みはすぐに途切れ、道は静かに山の中へ入っていく。車の音はほとんど聞こえず、足音と呼吸の音だけが残った。
開けていた景色から、徐々に左右の山が迫り、視界が閉じていく。少し圧迫感はあるけれど、こういう道のほうがなぜか落ち着く。道は舗装から砂利、やがて土道へと変わり、落ち葉が積もった場所も増えてきた。ところどころ湿っていて滑りやすく、足元に気を取られる。

平坦だった道が、あるところから急に勾配を増す。
一歩一歩が重くなり、息が一気に荒くなる。激坂というほどではないのに、休むタイミングがつかめず、じわじわと体力を削られる。気づけば無言で足元だけを見つめ、黙々と登っていた。
 
 

道の駅

途中、「あぐり窪川」の道の駅に立ち寄る。
突然人の気配が現れて、少しほっとする。ここは人が多く、地元の空気が濃い。作業着姿の人や買い物袋を下げた人が行き交い、歩き遍路の世界とは別の時間が流れているようだった。

人気そうだった豚まんをひとつ買ってかじると、想像以上にうまかった。特別な味というより、ちゃんとお腹にたまる安心感のある味だ。
ベンチで少し休んでいると、「頑張ってね」と声をかけられる。たった一言だけれど、その言葉がやけにあたたかく感じた。
少し長居をしてしまい、「そろそろ行かないと」と自分に言い聞かせて、再び歩き出す。
 
 

岩本寺

しばらく歩いて岩本寺に到着した。
境内に入った瞬間、「あ、ここは今までと違うな」と感じる。明らかに山寺とは違い、観光地っぽさもあり、不思議と生活に近い空気がある。本堂の天井画や境内のつくりも独特で、これまでの札所と同じ流れで参ってきたはずなのに、ここでは自然と足を止めて見回してしまった。
ただ、参拝を終えると、なぜか居心地が落ち着かず、すぐに立ち去る気になってしまった。
「ここは自分には向いてないかも」——そんな感覚のほうが勝っていた。
これまでは、どのお寺でも多少なりとも「来てよかった」という気持ちがあっただけに、この違和感は少し意外だった。場所が悪いわけでも、嫌なわけでもない。ただ、自分との相性というものがあるのかもしれない、と思った。
 
 

今日の学び

今日は、山道を歩き、道の駅で少し長居をし、そしてこれまでとは少し違う雰囲気のお寺を参った。
どれも特別な出来事ではないけれど、一日を通して、なぜか「しっくりこない」感じが残った。
すべてが感動的だったり、納得できたりする日ばかりではないだろうし、気持ちが乗らない道もあれば、合わない場所もある。今日はいろいろと合わないと感じることも多かったが「それでいい」と思えた一日だった。
 
 

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