
記事内にプロモーションを含む場合があります
はじめてでも安心。歩き方・準備・魅力・マナーをやさしく解説します。
四国には「四国八十八ヶ所(しこくはちじゅうはっかしょ)巡り」と呼ばれる、特別な巡礼の旅があります。四国4県にある88のお寺日本の四国には、古くから「四国八十八ヶ所巡り」と呼ばれる巡礼の旅があります。四国四県に点在する88のお寺を、順番にお参りしてまわるもので、弘法大師・空海ゆかりの道として知られています。
ただ、初めての方にとっては、「何を準備すればいいの?」「どうやって巡ればいいの?」という疑問も多いかもしれません。
この記事では、四国遍路の基本や巡り方の種類、歩き遍路の魅力や準備のポイントまで、初めてでも安心して始められるようにわかりやすくご紹介します。興味を持っている方や、これから計画を立てたい方にとって、少しでも参考になる内容になれば幸いです。
1. お遍路ってなに? 四国八十八ヶ所の基本
「お遍路(おへんろ)」とは、四国にある88ヶ所の仏教寺院を巡礼する旅のことをいいます。正式には「四国八十八ヶ所巡り」と呼ばれ、弘法大師(空海)ゆかりの寺院をめぐりながら、自分自身と向き合う心の旅です。
四国遍路の88ヶ所という数にはいくつか説がありますが、代表的なものは「人間の煩悩の数が88」とされることに由来しています。また、男性の厄年42歳、女性の厄年33歳、子供の厄年13歳の合計が88であるという説や、仏教の世界観にある33の俗界・28の色界・28の無色界という異なる段階の心の迷い(見惑)を合わせた数という説もあります。
弘法大師・空海が生涯を通じて修行や布教を行ったとされる四国各地の寺院から選ばれています。歴史的には、平安時代から室町時代にかけて大師信仰が広まり、江戸時代に入ると正式な霊場として88の札所が体系化されました。
はい、信仰目的でなくても四国遍路を巡ることは問題ありません。
現代の四国遍路は伝統的な信仰巡礼の側面だけでなく、観光や健康増進、自然を楽しむアウトドアの旅としても広く受け入れられています。実際に信仰がなくても、自分なりの目的やペースで巡礼を楽しむ人が多いです。また、心身のリフレッシュや自身の人生を見つめ直すための旅として歩く方もいます。
はい、宗教が違っていても四国遍路を巡礼して問題ありません。四国遍路は特定の「宗教」や「宗派」に所属するものではありません。歴史的には真言宗の開祖・弘法大師(空海)を中心とした信仰に深く根ざしていますが、信仰に関わらず誰でも自由に参加できます。

四国八十八ヶ所巡りの意義
この巡礼は、弘法大師が修行を行ったとされる場所をたどる旅でもあります。1番札所から88番札所までの道のりは、人生そのものを表しているとも言われ、出発から結願(けちがん=最後のお寺)までの流れの中で、心を整えたり、新たな気づきを得たりすることができます。
巡り方はいろいろ。自分に合ったスタイルで
- 順打ち(じゅんうち)
1番札所から88番札所まで、順番にめぐる一番オーソドックスなスタイルです。 - 逆打ち(ぎゃくうち)
88番札所から1番札所へ、逆の順番でめぐる方法で、より厳しい修行とされます。 - 区切り打ち(くぎりうち)
一度に全てを巡るのではなく、休日などに少しずつ分けてめぐる方法。無理せず続けられます。 - 乱れ打ち(みだれうち)
好きな順番で自由に寺院を訪れるスタイル。自分のペースで楽しみたい方に向いています。
巡礼の方法に「正解」はありません。目的やライフスタイルに合わせて、自分にぴったりの巡り方を見つけてください。
2. 歩き遍路の良さと魅力
四国八十八ヶ所巡りにはさまざまな巡り方がありますが、なかでも「歩き遍路(あるきへんろ)」は、最も伝統的で心に残るスタイルです。
自分の足で一歩一歩進むことで、景色だけでなく、自分の内面ともじっくり向き合える特別な時間になります。

心と体、どちらも健康になる旅
歩くことは、体にとっても心にとっても良い影響を与えてくれます。
毎日数十キロを歩くことで、自然と体力がつき、生活リズムも整っていきます。また、自然に囲まれた静かな道を歩いていると、頭の中がスッと整理されて、気持ちが前向きになったり、不思議と心が軽くなったりすることもあります。
人とのふれあいが心に残る
歩き遍路を行うことで、四国地方独特の文化や風習、そして地元の人々との直接的な触れ合いが得られます。多くの寺院には地域住民がお接待として茶や食事を提供しており、このような人々との交流を通じて、四国の温かさやおもてなしの心を深く体感することができます。
また、歩き遍路中に出会う他の遍路さんとの交流も魅力の一つ。共に歩くことで、支え合ったり、お互いの経験や知識を共有することができます。
四国遍路の伝統的な習慣で、遍路(巡礼者)に対して地元の人々が食べ物や飲み物を無償で差し出したり、休憩場所や宿を提供するなどの親切なもてなしを指します。 この文化は、相互扶助や仏教の布施(施し)の精神に根ざしており、遍路者を助けることは弘法大師(空海)への供養やお布施の意味も込められています。お接待は見返りを求めない善意の行為であり、遍路は受けたお接待を断ってはならないとされています。
お接待を受けた際、基本的に「お返し」は必要ありません。
四国遍路のお接待は、仏教の布施の精神に基づく無償の善意であり、見返りを求めない純粋な親切とされています。そのため、遍路者はお礼の言葉を丁寧に伝えるだけで十分です。
もしどうしても感謝の気持ちを形にしたい場合は、「納札」と呼ばれる遍路札(自分の名前や願いを書いた紙札)を渡すのが一般的ですが、大切なのは感謝の気持ちと丁寧な御礼の言葉です。
四国の自然を、五感で味わえる
歩き遍路の魅力は、なんといっても四国の豊かな自然をじかに感じられること。山の静けさ、海の広がり、田んぼのにおいや川のせせらぎ……歩くことで、季節ごとの風景や空気を全身で味わうことができます。
道ばたに咲く花、神社の境内で聞こえる鳥の声、地元の食堂で食べたうどんの味――そうした一つ一つが、旅の記憶として深く心に残るのです。
歩き遍路は単なる「お寺巡り」ではなく、自然の息吹を感じながら歩き、人との交流や自己と対話する時間です。日常の忙しさから少し離れて、自分らしいペースでゆったりと歩んでみましょう。
3. 歩き遍路を始める前の準備
歩き遍路は、誰でも始められる旅ですが、快適で安全に楽しむためには、出発前の準備がとても大切です。ここでは、はじめに知っておきたいポイントを簡単にご紹介します。

いつ歩くのがいい?〈おすすめの時期〉
四国遍路は一年中できますが、歩きやすいのは春(4月~6月)と秋(9月~11月)です。気候が穏やかで、景色も美しく、初心者には特におすすめの季節です。
夏は暑さが厳しく、冬は雪や冷え込みに注意が必要です。体調や装備に自信がない方は、無理せず気候のよい時期を選びましょう。
はい、夏の歩き遍路はかなり大変です。
四国は「南国」と呼ばれるほど夏の暑さが厳しく、日差しも強いです。炎天下や日陰の少ない道では、熱中症や脱水症状への注意が必要です。特に7月~8月は気温が高く、山道では虫や蚊も多くて体力の消耗も大きくなります。
必要な持ち物は?
最低限そろえておきたい基本アイテムはこちら:
- 白衣(びゃくえ)や輪袈裟(わげさ)などの遍路装束(なくてもOK)
- 金剛杖(こんごうづえ)やすげ笠(風よけ・日よけ用)
- 納経帳(のうきょうちょう)や納め札
- ローソクとお線香
- 地図またはガイドブック(スマホアプリも便利)
- 歩きやすい靴とリュック
- 雨具、救急用品、水分、軽食 など
身軽であることも大切です。必要以上に荷物を増やさない工夫をしましょう。
★ 過去記事:みんなのリュック見せて!
いいえ、必ずしもすべてを用意する必要はありません。特に白衣や輪袈裟などの遍路装束は、身体を清めるための伝統的な衣装ですが、必須ではなく、持っていなくても問題ありません。大切なのは安全で歩きやすい靴やリュック、納経帳など基本的なものを揃え、自分が快適に巡礼できる装備を整えることです。
四国遍路の靴は「歩きやすさ」「クッション性」「耐久性」が重要です。おすすめは「ウォーキングシューズ」や「軽量トレッキングシューズ」です。 舗装路が多いですが、山道や未舗装路もあるので、ソールに適度なグリップがあり、長時間歩いても疲れにくい靴がおすすめです。 軽くて防水性があるもの、爪先やかかとがしっかり保護されているタイプを選びましょう。新品は靴擦れの原因になりやすいので、事前に自宅周辺で慣らしておくのが安心です。
歩き遍路の荷物は「できるだけ軽く」が基本です。多くの経験者や専門サイトでは、5kg以内に収めることをおすすめしています。着替えや防寒具は最低限で、宿泊施設で洗濯ができるので多く持つ必要はありません。不要なものがあれば現地から送り返すなどして、身軽さを意識しましょう。
どのくらい日数がかかる?
すべての札所(88ヶ所)を歩いて巡る場合、およそ40〜60日が目安です。体力やペースによって個人差がありますが、1日20km〜30km前後を歩く人が多いです。
一度でまわれない場合は、「区切り打ち」として何回かに分けて巡るのもおすすめです。
費用の目安
- 宿泊費:民宿やゲストハウスで1泊2食付で6,000〜8,000円前後、ビジネスホテルはもう少し高め
- 食費:1日1,000円〜2,000円ほど(地元の食堂やスーパーなどを活用)
- 納経料:1ヶ寺500円(納経帳に朱印をいただく際に必要)
- その他:交通費や雑費、お接待へのお礼、おみやげ代なども考慮を
具体的には、宿泊費が最も大きく、安く抑えても1日8,000円(食費含む)×50日で約40万円、これに納経代などを加算して約50~60万円となります。
野宿を中心に四国遍路を一周する場合、費用は食費や装備費を抑えられるため、約10万円から15万円程度が目安となります。食費はスーパーやコンビニ中心で1日1,000〜2,000円ほど見込めます。宿泊費を節約できる一方、テントや寝袋などの装備費、交通費や銭湯利用の費用も多少必要ですが、総じて宿泊利用に比べて大幅に予算を抑えて巡拝が可能です。
はい、四国遍路では現金の持参が必要です。 多くの札所(お寺)や宿泊施設、納経所では現金のみの支払いとなる場合が多く、特に地方や山間部の小さな施設ではクレジットカードや電子マネーが使えないことがあります。また、自動販売機やバス、ちょっとした買い物・食事も現金のみ対応がほとんどです。
事前に天候や地形、宿泊施設の有無を確認して、無理のない計画を立てましょう。四国遍路は「無理せず、焦らず」が大切です。準備をしっかりすれば、安心して旅をスタートできますよ。
4. 歩き遍路の巡り方
歩き遍路は、自分の体力やスケジュールに合わせて自由に進めることができる旅です。ここでは、スムーズに進めるための基本的な巡り方や、宿の手配、ツアーの活用について紹介します。

無理せず、自分のペースで
はじめての歩き遍路では、いきなり長距離を歩こうとせず、体調に合わせて少しずつ距離を伸ばすのがおすすめです。たとえば、最初の1週間は1日15〜20kmほどを目安にすると、体も慣れてきて無理なく続けられます。
札所(お寺)によっては山の中にある場所もあり、アップダウンのある道も。地図や天気を確認しながら、休憩時間もこまめに取りましょう。
健康な65才の方でしたら、四国遍路で1日に15~20km程度は無理なく歩ける場合が多いです。
初めての場合は15km前後からスタートし、体力や歩き方に慣れてきたら20km前後でも可能です。ただ、坂道や荷物の重さ、天候などによって体力の消耗もあるので、体調と相談しつつ自分のペースを大切にしてください。
宿の手配はどうする?
- 事前予約がおすすめ
観光シーズンや週末は特に混み合うため、あらかじめ宿を予約しておくと安心です。電話予約やネット予約のほか、最近ではLINEや専用フォームで予約できる施設も増えています。 - 飛び込み宿泊もOK
あえて宿を決めずに歩くスタイルも、お遍路ならではの魅力。ただし、満室や休業の可能性もあるため、近くの宿の連絡先を控えておくなど、予備のプランを用意しておきましょう。
四国遍路の宿泊では、素泊まりと食事付きのどちらも選ばれていますが、一般的には食事付きプランが多く利用されています。(食事付きが約7~8割、素泊まりが約2~3割)
・食事付きの宿は、民宿や宿坊を中心に多く、地域の郷土料理や精進料理などが楽しめます。食事の時間が決まっていることが多く、到着時間の調整が必要ですが、食事の心配がなく楽に過ごせるのがメリットです。特に歩き遍路では疲れて到着後すぐに食べられる利便性が評価されています。
・素泊まりは、早朝出発や自由なスケジュールを重視する人、アレルギーや食事制限がある人に選ばれる傾向があります。また、予算を抑えたい場合や近くに飲食店がある場合も便利です。ただし、自炊設備がない場合は食事を外で調達する必要があります。
昔は多くありましたが、最近は感染症対策や宿の体制変更のため、相部屋を提供する宿はほとんどなくなっています。 ごく一部のゲストハウスや宿坊、ドミトリータイプの宿泊施設では相部屋を設定することもありますが、遍路宿の多くは個室対応が主流となっています。
ツアーを利用する方法も
旅行会社が企画する「歩き遍路ツアー」もあります。ガイドが同行し、宿泊・食事・移動などがセットになっているため、初心者には特に心強い方法です。
自分で全て手配するのが不安な方、または短期間で効率よくまわりたい方にもおすすめです。
歩き遍路のスタイルは人それぞれ。大切なのは、無理をせず自分のペースを守ることです。計画を立てすぎず、出会いや景色を楽しむ“余白”を残すのも、歩き遍路の楽しみ方のひとつです。
5. お寺間の距離と特色
四国八十八ヶ所のお寺は、四国の4つの県(徳島・高知・愛媛・香川)にまたがって点在しています。それぞれの県には巡礼上のテーマがあり、風景や道の雰囲気も異なります。
全行程の距離は約1,200km。歩き遍路にとっては長い道のりですが、地域ごとの特色を知っておくと、旅がもっと楽しくなります。

徳島県(阿波・あわ)
発心の道場:第1番~第23番
【距離感】寺院間の距離は10~15km程度。全体的に比較的歩きやすい。
【特徴】遍路の出発地。「心を発す=決意する」場所で、気持ちを新たに旅が始まります。川沿いやのどかな山間の道が多く、初心者にとっても歩きやすいエリアです。
高知県(土佐・とさ)
修行の道場:第24番~第39番
【距離感】寺と寺の間が20km以上ある区間も多く、長距離歩行が続く。
【特徴】まさに“修行”の道。山道や海沿いを長く歩く日もあり、体力的に最もきびしい区間です。ただ、その分だけ得られる達成感や、太平洋の絶景は格別です。
愛媛県(伊予・いよ)
菩提の道場:第40番~第65番
【距離感】比較的寺院が密集しており、1日の歩行距離を短めに調整しやすい。
【特徴】古い町並みや温泉地も多く、心を落ち着ける“安らぎ”のエリア。松山や内子など観光スポットも多く、歴史や文化を楽しみながら歩くことができます。
香川県(讃岐・さぬき)
涅槃の道場:第66番~第88番
【距離感】10〜20kmほどの区間が中心。平地も多く、歩きやすい。
【特徴】遍路のゴールとなる地。町なかを通る道も多くなり、アクセスもしやすくなります。ラストは結願(けちがん)を迎える第88番札所・大窪寺。歩いてきた道のりを振り返る、感慨深い時間が待っています。
四国遍路で結願(88番札所を巡り終えること)した後に、必ず1番札所に戻る必要はありません。 ただし、結願後に1番札所「霊山寺」へ戻ってお礼参りをする習慣は、戦後から徐々に一般化してきました。多くの巡礼者は結願後、感謝の気持ちを込めて初心に立ち返る意味で1番に再訪し、納経帳に「満願御礼参拝」の記念をもらいます。 また、1番に戻ることで四国をぐるっと一周して輪を完成させる象徴的な意味もあります。戻る距離は約40キロほどで、体力や時間に余裕があれば歩いて戻る人も多いです。逆に結願した88番札所で終了し、そのまま帰宅する人も問題ありません。
高野山に行くことは四国遍路の必須ではありませんが、多くの巡礼者にとっては「結願後のお礼参り」として重要な意味を持ちます。 高野山は真言宗の開祖・弘法大師(空海)が修行の地とした聖地で、四国遍路の88箇所巡礼を終えた後に弘法大師に感謝を捧げる場所として慣習的に訪れる人が多いです。お礼参りをすることで巡礼の旅を精神的に完結させ、さらなる加護や祈願を願います。 ただし、時間や体力、経済的な理由で高野山まで行けない人も多く、無理に訪れる必要はありません。気持ちと状況に応じて選べる自由な参拝先です。
四国は、地域ごとにまったく異なる表情を持っています。歩いてみて初めて出会う風景、文化、人のあたたかさ――そのすべてが、巡礼をより深く、豊かなものにしてくれます。
6. 歩き遍路の体験記
〜実際に歩いたからこそわかる、心に残る旅のエピソード〜
四国八十八ヶ所を巡る旅は、ただのお寺巡りではありません。日々の出会いや自然の中で感じること、困難を乗り越えた先にある小さな感動など――体験してこそわかることがたくさんあります。
ここでは、あるお遍路さんの歩き旅の記録を、いくつかご紹介します。

遍路初日|初日の不安と、住職さんのひと言
見知らぬ土地に、緊張と不安でいっぱいだった私。でも、出発のお寺で住職さんがかけてくれた「気をつけて、無理せずね」というひと言に心がほぐれ、思わず笑顔に。小さな温かさが、大きな励みになると知った日。
7日目|お経の声が、経験を物語る
お寺で出会ったベテラン遍路さんから「お経の声を聞けば、その人の経験がなんとなくわかるよ」と教わる。たしかに、落ち着いた響きや抑揚に、その人の歩んできた道がにじみ出ている気がして、自分も声に心を込めるようになった。
21日目|突然の雨と、人のやさしさ
山道で雨に降られ、どうしようかと立ち尽くしていたとき、近くの家から傘を持って走ってきてくれた女性がいた。ありがとう、という言葉が何度もこぼれる。四国の“おもてなしの心”に、思わず涙が出た。
37日目|ゴールは見えても、山が高い
最後の難関・女体山の前に立ち、気が遠くなる。でも、これを超えれば、ついに88ヶ所すべてを巡ったことになる。山を一歩ずつ登りながら、自分も少しずつ強くなってきたことを感じる。
最終日|結願。そして、あたらしい始まり
第88番・大窪寺に着いたとき、「終わった…」というより、「ここからまた始まるんだ」と感じた。この旅で出会ったすべての人、景色、出来事が、自分の心に何かを残してくれた。
お遍路の旅は、外側の風景を楽しむだけでなく、自分の内面とじっくり向き合える時間でもあります。歩いた分だけ、思い出も感動も深まる。それが、歩き遍路ならではの魅力です。
7. お遍路の異なる巡り方
歩くだけじゃない。自分に合ったスタイルで巡ろう
四国八十八ヶ所巡りには、実はいろいろな巡り方があります。歩きだけでなく、車や自転車、バス、ツアーなど、スタイルは自由。体力や時間、自分の目的に合わせて選ぶことができます。

歩き遍路
もっとも伝統的で、心に残る巡り方。
自分の足で道を歩き、自然や人とふれあいながら、お寺を一つひとつめぐります。体力は必要ですが、そのぶん達成感も大きく、心の変化を感じやすい旅です。
車(自家用車・レンタカー)遍路
時間に余裕がない人や、長距離の徒歩が難しい人におすすめ。
遠方のお寺も効率よく巡れるので、限られた日数で結願(けちがん)を目指す方にも向いています。運転に慣れている人向け。
一般的に7日〜10日程度でまわることが多いです。
自転車遍路
体力に自信がある人に人気のスタイル。
歩くより移動距離は伸ばせますが、四国は山が多いため、事前のルート確認と体調管理がカギ。風を感じながら走る気持ちよさは格別です。
バス遍路
グループや高齢の方にも人気の安心スタイル。
観光バスで主要なお寺を効率よくめぐることができ、専門ガイドが寺院の由来や巡礼の作法をわかりやすく説明してくれます。
歩き遍路ツアー(ガイド同行)
「歩きたいけど一人では不安…」という方にぴったり。
旅行会社が提供するツアーでは、ガイドや先達さんが同行して道案内や説明をしてくれるので、初心者でも安心。宿泊・食事・荷物配送などもセットになっていることが多く、快適に歩けます。
先達さんとは、四国遍路の公認ガイド役で、巡礼者を案内しサポートする資格者のことです。 先達は四国八十八箇所の歴史や宗教的な背景に詳しく、参拝作法や道案内、礼儀などを教えながら、安全でスムーズな巡礼を支えます。 主に団体ツアーの先導や、巡礼者個人の相談役としての役割も担い、多くの知識や経験に基づいて助言や指導を行います。 資格取得には、四国八十八箇所を4回以上巡礼し、推薦を受けたうえで先達研修会を受講するなど一定の条件が必要です。
途中で四国遍路をやめても、バチが当たるということはありません。 四国遍路は厳しい修行でも信仰でもありますが、自由な巡礼の旅でもあります。途中で体調不良や事情でやめることは決して悪いことではなく、無理をして続ける必要もありません。むしろ、自分の体や心と相談して安全第一で行動することが大切です。 多くの巡礼者も事情で途中で休むことや一時中断、別の機会に再開することは普通に行われています。大切なのは、自分のペースで無理なく巡礼を続けることです。その意味で「やめたらバチが当たる」という考えは迷信的なもので、気にせず安心してください。
どの巡り方にも、それぞれの魅力があります。 大切なのは、自分に合った方法を選び、自分のペースで巡ること。無理せず、楽しみながら八十八ヶ所を目指しましょう。
8. マナーについて
四国遍路は、心に寄り添う“旅”です
四国八十八ヶ所巡りは、ただのお寺巡りではありません。
自然の中を歩き、人と出会い、自分と向き合う――そんな旅だからこそ、何かを感じ取り、心に変化が生まれるのだと思います。
目的やスタイルは人それぞれ。
健康を願ってもいいし、人生の節目に歩いてもいい。歩いても、車でも、ツアーでも、どの方法も“自分らしい遍路”です。
とはいえ、知っておくべきマナーもいくつかあります。
◯山門をくぐる際は一礼し、聖域に入る心構えを持つ
◯手水鉢で手や口を清めて身を清める
◯鐘や鈴は優しく鳴らし、大きな音を立てない
◯本堂・大師堂ではろうそく線香をあげ、納経帳を用意し経を唱える
◯お賽銭を静かに入れ、合掌し一礼を忘れない
◯参拝時は服装や帽子の扱いに気をつける(菅笠以外の帽子は脱ぐ)
◯境内は左側通行、他の参拝者や巡礼者に配慮する
◯杖(こんごうづえ)は丁寧に扱い、地面に直接置かない
◯お接待は感謝して素直に受け取る
◯早朝や夜間の宿では静かに行動する
◯追い抜く際は挨拶をして相手に敬意を示す
◉境内での騒音や大声、おしゃべり
◉本堂・大師堂での飲食や喫煙
◉境内や札所周辺でのゴミの放置
◉参拝作法を無視した横柄な振る舞い(帽子のまま参拝、ふざけて写真撮影など)
◉他の参拝者・巡礼者を不快にさせる行為(割り込み、無断撮影)
◉仏像や御本尊、聖域に触ること(案内なく触れるのはNG)
◉無断で寺院関係者や宿泊施設の敷地に入る
◉お接待を断ったり、横柄に受け取る
◉境内や遍路道での野宿(明確に禁止されている場所もあり要注意)
十善戒
せっかくなので、十善戒についても知っておきましょう。
十善戒(じゅうぜんかい)とは、仏教で説かれる「してはいけない10の戒律」を守る教えで、四国遍路の心構えとしても重視されています。弘法大師は「諸戒は十善を本にす」と説いており、遍路を歩む際の道徳的な指針となっています。
十善戒の内容は以下のとおりです:
- 不殺生(ふせっしょう):生きものをむやみに傷つけたり殺したりしない
- 不偸盗(ふちゅうとう):物を盗まず、他人のものを大切に扱う
- 不邪婬(ふじゃいん):性を乱さず節度を守る
- 不妄語(ふもうご):嘘や偽りを言わず真実を語る
- 不綺語(ふきご):無意味なおしゃべりや飾り言葉を慎む
- 不悪口(ふあっく):悪口や中傷をしない
- 不両舌(ふりょうぜつ):二枚舌や裏表のある言動をしない
- 不慳貪(ふけんどん):欲深くならず、感謝の心を持つ
- 不瞋恚(ふしんに):怒りに任せず、心穏やかに過ごす
- 不邪見(ふじゃけん):誤った考えや偏見を捨て、平穏に接する
これらは「しないこと」を意識する戒めであり、遍路だけでなく日常生活でも心がけるべき大切な教えです。

9. みんなのへんろ事務局のおすすめ情報
- おすすめその1:『宿泊施設データベース』
へんろ道沿いにある宿泊施設(旅館、民宿、ビジネスホテルなど)のほか、宿坊や通夜堂、善根宿も検索できます。宿泊料金や部屋数、Wifiや洗濯機などの設備、実際に宿泊した人のクチコミなども簡単にチェックできます。 https://min88.jp/inn/

- おすすめその2:『みんなでつくった遍路地図』
全国のお遍路ファンの皆さんからの「こんな地図が欲しい」という要望や、実際に体験したリアルなクチコミやプチ情報をふんだんに盛り込んだ、楽しくもあり頼もしい地図本です。
【スペシャルサイト】https://min88.jp/shikoku88map/
【オンラインショップ】https://min88.official.ec

◎ さいごに
四国遍路は、特別な“修行の旅”であると同時に、誰にでも開かれた“やさしい旅”でもあります。
速さを競う必要も、ゴールを焦る必要もありません。あなたのペースで、あなたの思いを大切にしながら、一歩ずつ進んでみてください。
その一歩が、きっとあなたのこれからの人生を、少しだけやさしくしてくれるはずです。
最後までありがとうございました。

◉あわせてこちらもどうぞ↓↓↓


コメント