ハウツー四国遍路

ハウツー四国遍路

はじめての方へ 〜聞いてみたい9つのこと〜

はじめのうちは疑問や不安がつきもの。
そんな方向けにHow toなるものをQ&Aっぽく書いてみました。

お寺の者でも先達の者でもないのでそれらの人ほど詳しくないですが、そんなに間違ってもないと思います。

これがきっかけで四国遍路に出発してもらえるなら嬉しいです!
それではどうぞ!

Q1. そもそも四国遍路ってなに?

四国88ヶ所の札所寺院は、香川県善通寺に生まれた弘法大師(空海)が42歳の時に修行をしながら開創したといわれています。
弘法大師に心ないふるまいをした伊予の衛門三郎が許しを求めるために弘法大師を探しながら歩いたのが四国遍路の始まりという話もよく知られていますがほかにも諸説あるみたいです。

平安末期や鎌倉時代はお遍路さんのほとんどは僧侶でした。室町時代になりその信仰は庶民にも広がり始め、室町末期から江戸初期にかけて遍路は大変なブームとなりました。花嫁修業・花婿修業のために遍路に出る若者もいたそうです!

Q2. 空海と弘法大師って同じ?

いろんな話にそれぞれの名前で出てくるのでややこしいですが同一人物です。
正確に言えば「空海」の別名が「弘法大師」です。「空海」は法名で仏の弟子になった者に与えられる名前。ちなみに生まれたときは「真魚(まお)」と名付けられました。

また「弘法大師」は自分で名乗ったのではなく死後に付けられた諡(おくりな)で、その人が生きている時に成し遂げた功績をたたえるために与えられる名前です。弘法大師のその功績は本当に数々あるのですが、一番大きなこととしては、”唐(中国)に留学し、真言密教という仏教の教えを持ち帰り「真言宗」という宗派を開いたこと”です。もちろんその時の名前は「空海」です。

Q3. 四国遍路ってどうやってまわればいいの?

四国遍路は全行程で約1,200キロくらい。四国各地に点在する88ヶ所の寺院(札所)をお参りするというもの。歩き・自転車・バイク・車・電車・バス・タクシーなど、どのような手段を使っても問題ないですし、それらを混ぜても構いません。

また、1番から順に回らなければならないとか、一回の巡礼で88ヶ所全部を回らなければならないなどの決まりもないです。 番号関係なく好きな札所から始めてもいいし、何回かに分けて行う区切り打ちや、一県だけ回る一国参り、札所を逆にまわる逆打ちなどスタイルは自由です。

ちなみにお寺を巡礼することを「打つ」といいますが、昔の納め札は板でできており、それを寺に打ち付けていた名残であるといわれていて、札所という名もこれからきています。

Q4. なにを準備すればいい?

まずは金剛杖。
金剛杖は”弘法大師そのもの”といわれ、道中の無事を加護してくれますので、使おうが使わまいが是非用意して下さい。札所に着けばまず枚を休ませ、宿に入る際には枝の先を清め床の間など通常足が触れない場所に立てかけるなど大切に取り扱います。

さらに、数珠・ろうそく・線香・納め札・僧侶の袈裟を簡略化した輪袈裟・般若心経が書かれた勤行本・そして納経帳などもあります。

また、白衣やすげ笠は好みに応じて揃えておくと良いでしょう。
白衣は「死装束」としての意味が込められていて、険しい遍路道で生き絶えたとしても成仏できるように最初から死装束を着たままお参りしていました。現在のお遍路では旅の途中で息絶えるような危険性は少ないですが過去の習慣に従って白衣を着ています。仏教や弘法大師に対して信仰心のない人は仏教的な意味で白衣を着る必要はないみたいなのですが、着ることでお遍路をしているという実感はかなりもてます。

すげ笠は日除けや雨除けに最適で、表面に書かれている4つの言葉には次の意味があります。
・迷故三界城・・・迷いの中におり苦しみ悩んでいる
・悟故十方空・・・霊場巡拝で心身を浄め、明るく幸せな生活を求める
・本来無東西・・・我を捨てて弘法大師から徳を頂き、平和な社会となす
・何処有南北・・・こだわりを捨てることで人生を拓く
あと「同行二人」は、いつも弘法大師と一緒にいます、という意味です。

<歩き遍路ならではのもの>
まず大切なのは履きなれた靴です。
当日に新品を卸さず、履き慣らしたもののほうが安心です。靴下は余分に持っておいたほうがいいです。汗や雨で濡れた靴下はマメができやすくなります。1日1足にこだわらず「湿ってきたらすぐ交換」くらいの意識で。

次にレインウェア。好みが別れますが上下セパレートタイプは体を動かしやすく、ポンチョタイプは脱ぎ着が楽で通気性も良くザックも一緒に覆えるといった特徴があります。

ザック(リュック)は、宿利用ならば15〜25Lくらい、野宿ならば40L〜60Lくらいあれば大丈夫ですが、それぞれ持っていく荷物にあわせて選んで下さい。あまりスカスカだと中の荷物が左右に振れたり、重心が低くなるので歩きにくいです。

あとは薬関係(痛み止め、テーピングなど)やヘッドライトも用意しておきましょう。行動時間の読みが甘く、暗くなっても宿に到着しないときの道のり、歩道がなく車通りの多い国道、昼間でも暗いトンネル内で自分の居場所を相手に示すのに使えます。

Q5. どのくらいお金がかかる?

まわるスタイルによって金額は変わってきますが一番費用がかかるのが宿代です。
素泊まりや食事付き、旅館・ビジネスホテル・民宿など様々ですが一泊4,000〜8,000円くらい。歩くとだいたい40日前後なので約20〜30万円。これに昼食代や飲み物代、雑費など1日1,000〜2,000円。納経料は1ヶ寺300円なのでx88で2万6400円。トータルするとざっくり40〜50万円くらいになると思います。

車や電車・バスなどを使うと日数が減るので出費はもっと抑えられます。野宿の場合は宿泊費がそのまま引かれるのでぐんと安くなります。事前に準備するテントや寝袋などありますが、現地で使うお金として納経料のほか、お風呂代や食材費など、全部で10〜15万円くらいでまわれると思います。

Q6. お寺ではどのようにお参りすればいい?

まず、山門(仁王門)に入る前に一礼し煩悩を払います。
次に水で口をすすぎ、手を洗います。鐘をつくことを許されている札所では、このあとお参りする前に。順番は本堂のあとに大師堂。納め札に自分の名を書いて納札箱に納めます。写経を持参している場合はこの時一緒に。

続いてろうそく・線香・賽銭をあげます。そして合掌礼拝し読経。大師堂でも同じ要領です。

最後に納経所で御朱印を頂きます。
山門を出たら本堂に向かい一礼し、その札所を後にします。

Q7. 納め札ってどんな時に使うの?

納め札は自分(お遍路さん)から仏様・お大師様への挨拶状のようなもの。
巡礼回数によって札の色は異なり、1回〜4回のお遍路さんは白色です。納め札には願いごと・住所・氏名・日付を書き、本堂や大師堂にある納札箱に納めます。

また、お接待をいただいた方にお礼とともに感謝の気持ちとして納め札を渡します。四国遍路をしていると様々なお接待を受けることがありますが、お接待する人にとってお遍路さんはお大師さんと同じ存在として見ています。遠慮せずありがたくお受けするのが良いとされています。

Q8. 歩き遍路は何が大変ですか?

距離が長いとか峠道などはもちろんなのですがトイレのない区間はつらいです。
町中はコンビニや道の駅などがあるので少しガマンして歩けばなんとか間に合いますが、昔ながらのへんろ道はそうもいきません。

たとえば徳島県では12番焼山寺、20番鶴林寺、21番太龍寺。愛媛県の43番明石寺を打ち終え、内子から久万高原町の44番大宝寺へ向かう道中。香川県は市街地を歩くことが多いのと、高知もコンビニや道の駅のほか、景色がいい場所には公園や休憩所が多く併設する公衆トイレがポツポツあるので意外と大丈夫でした。

区間距離が長いところはコンビニや商店、飲食店が少ない(もしくは全然無い)ので注意です。徳島県の28番薬王寺から高知県の24番最御崎寺、高知県の37番岩本寺から38番金剛福寺、さらに39番延光寺の間は距離が長くいろんな施設が少な目です。

あと雨の日は大変ですね。小雨でも結構ストレスなので、曇っていても降ると降らないは大違いです。

Q9. やっぱりマメってできる?

人によりますが、一つもマメが出来ずにまわれたという人のほうが少ないです。
防ぐ方法はいくつかありますが、普段、出発する少し前くらいから同じ重さの荷物を背負って長い距離を歩く練習をして足を強くしておくこと。現地では午前午後で靴下を交換すること。休憩時には靴下を脱ぎ、靴下と靴、足を日に当て乾燥させること。靴はインソール(中敷き)も抜きとって靴と別々に日光や風を当てると効果的です。そうそう、5本指ソックスも調子良かったです。

・・・とまぁ、こんな感じでしたが役に立てれば幸いです。

いろいろ経験できるのが四国遍路の楽しみでもありますので、すべてを知ってから出発する必要はなく、現地でまわりながら徐々に知っていけば、それはそれで全然オッケーです!(そういう私もそのクチでしたので)

そして、もし余裕ができてきたらこのサイトに旅の記念として投稿してみて下さい。
ではでは。

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