お遍路永遠のテーマのひとつ、『靴選び』の話。
そのなかでもよく話題になるのが”ランニングシューズ”と”ウォーキングシューズ”。
なんて言うのかなー、結局最終的には人それぞれの好みとか相性で選んでいいと思うんだけど、ちょっとだけ基本的な知識も知っておいたほうが選びやすいのかなって思ってます。
見た目もよく似てるから余計ややっこしいんだけど、つくり手側のコンセプトは大きく違うんです。
ちなみに自分、学生時代は6年間陸上部、そのあと某大手スポーツショップでバイトしていた経験から靴の知識はちょっとだけ持ってるかもです。今回はこれもちょいちょい話題になる登山靴はちょっと置いといて、よく話題になるこの2つについて書いてみようと思います。
重さの違い
まず重さですよね。
ランニングシューズは動作の妨げや長時間走っても疲れにくいようできるだけ軽く作られています。歩くときよりも高く足を上げるから軽いほうがいいんだろうなっていうイメージはできますよね。
ウォーキングシューズは長時間歩けるよう足の動きを安定化させることに特化されていて、振り子の原理を活かすためにわざと少しだけ重くしています。もし足が疲れていても次の一歩が自然と踏み出しやすいく、ランニングシューズにこの性能はないため、それは自力で足を前に動かしてあげる必要があります。当然そのぶん足は疲れます。
「軽いから歩きやすい」という考えも散歩程度の短時間歩行ならそれほど差がわからないんですが、四国遍路のように長時間・長期間ではボディーブローのようにじわじわ効いてきます。
ソール素材の違い
靴底の地面と接する部分のことです。
ランニングシューズは着地時に足にかかる衝撃から守るためにクッション性が高くできてます。簡単に言うと柔らかい。
ウォーキングはランニングほどの衝撃はないため、それでも多少は柔らかく作られているんですが、どちらかと言うと耐久性重視で少し硬めのラバーを使っています。ランニングシューズは指でグニュッと押し込めるくらい柔らかい反面、すぐにすり減るし言ってしまえば短命・使い捨て。その弱点があったとしても軽くしたいってわけ。上級モデルとなると更に軽量化のためにそのクッション性さえも削ってソールがより薄くなっているのもあって、これらは日頃からトレーニングしている人だけが使いこなせます。あとランニングシューズは走る姿勢を考慮して少し前傾になっていたりします。これで歩くとつま先側に荷重が掛かるのでバランスが悪くて疲れますし、最悪は足を痛めたり指あたりにマメもできやすくなります。あと、少しつま先部分が上に反り上がっていたりしているのも特徴的で、これはスムーズに走れるように足の回転を考慮したもので、歩く時の足の動きや効率がよい理想的な接地面を確保できないため力の伝え具合にロスが生じます。
ちなみに最近は着地の衝撃を反発力に変えて楽に走れる厚底ランニングシューズというものが流行っていますが、これは”走った時”の衝撃をクッション利用したもので、”歩いた時”の踏み込み力くらいではその反発効果は期待できるほどのものではないということも付け加えておきますね。
アッパー素材の違い
靴の布部分です。
ランニングシューズはほとんどこの部分はメッシュ素材。メッシュ素材は伸縮性や通気性に優れています。
ウォーキングシューズは外傷などの耐久性やドロ汚れ、雨天時の防水性も考慮されているため、部分的にメッシュも使っていますが合皮素材やスウェード素材も多く使われていて、足全体を程よくホールドするためでもあります。
で、ここが歩き遍路で悩むポイントのマメ問題。マメは靴の中が蒸れるとできやすい → なので通気性を求める → だったらランニングシューズが最適。この流れだと思いますし、マメに関して言うと間違ってないです。マメを取るか、疲れを取るか。
安定性の違い
上記の重さやソール、アッパーの話と重複しますが、ウォーキングシューズは適度な重量感をわざと持たせていますが、それに加え歩行時に足面が傾いても着地時に補正できるような構造、たとえばインソールのかかと部分が硬めのカップになってになっていたり、かかと部分を外側からプラスチック素材で補強していたりと。なので安定性ではウォーキングシューズのほうが優れてます。
ランニングシューズはクッション性・柔軟性を重要視するため、着地時にぶれた時は自分のバランスで補正・吸収することになり、疲れたり足を痛めたりします。そういった安定性までをも削っているランニングシューズですが、初心者用モデルならばクッション性と安定性を両立させているものもあります。
価格の違い
・ランニングシューズ=高い、だから良い。
・ウォーキングシューズ=ちょっと安い、だから劣る。
と思っている人が多いかも知れません。
値段が高いからいろんな面で優れているのではなく、ランニングシューズは単純に軽くするための素材自体が高いということ。ウォーキングに求める機能は安価な素材で作ることができる事に対し、ランニングに求める機能はその素材や開発研究費・デザイン費、・広告費など、競合するメーカーとの差別化などによってどんどん高価になっていきます。間違えてはいけないのは、この2つの靴の特性や役割がはまったくの別物なので、つまりは「せっかくだからいいもの(=高いもの)買っとこ」って両者ごちゃまぜで価格だけで選ぶと逆に失敗するかもです。
デザインの違い
違いっていうかこれについては見たまんまなんだけど、まぁ正直ランニングシューズのほうがかっこいい。ウォーキングシューズは黒とかグレーとか茶色とかが多くてお世辞にもかっこいいとは言えない。こればっかりはランニングシューズのほうが優れてると言わざるを得ないよね。「ダサいからなんかヤだな」って人もいると思います。ウォーキングシューズ、もうちょっとがんばれ。
まとめ
遍路では一度出発しちゃえばもうそれを履き通すしかなく、両方持っていって交互に試せないから余計難しいのですが、結局のところ、どっちがいいかって聞かれたら自分ならランニングシューズはおすすめしないかな、特に上級モデルほど。もしマメ防止を重視して通気性の良いランニングシューズをもし選ぶとしたら”あえて”の初心者用モデルですかね。まぁでも雨の日のこと考えたら浸水してくる時間も早いからどっちにしてもランニングシューズは苦手です。結局足が濡れてしまったらマメができやすくなりますからね。
自分は比較的マメができにくいほうなので、ならば毎日使っても疲れにくいウォーキングシューズを選びます。ぶっちゃけこの両者の「いいとこどり」がトレランシューズだったりもするんだけど、それはまたまた別の機会で。
ではでは。
あ、あけましておめでとうございます。
コメント
なるほど、スッキリしました。
めちゃめちゃ参考になりました。あした靴屋さん行って来ようかな。
軽いから良いって思ってました。なるほどです。でも書かれてるようにウォーキングシューズってあんまり好きなデザインがないんですよね😓
こんばんは。
2014年、2019年と2回歩きへんろをしましたが、2回目の大失敗は靴でした。
1回目はメレルの登山靴(12000~13000円ぐらい)で行って靴自体の問題はなかったと記憶してますが、
2回目はアシックスのロードジョグ(最低ランク、3000円ぐらい!)でいけるやろ、とけちってしまい、
新品から開始→後半靴底が半分ぐらいにすり減り山道で大変なことになりました。
屋島寺から下りの山道で足に石が刺さりまくりで地獄だったのを忘れられません。
ウォーキングシューズは履いたことがないのでわかりませんが、
↑のお話を見ると、ランニングシューズはランクの上下関係なく無いがかなと思いました。
@くまごろう
良かったです!ウォーキングシューズは見た目野暮ったいけど性能は高いんですよね。
@naru
おぉ!ランシューがダメってわけじゃないから実際に履いてみてしっくり来るのが一番です!
@akko
そうなんですよね〜。比較的ニューバランスのモデルはいい線いってると思います。
@ウータ
ランシューご経験者でしたか。聞く話では小枝とかも普通に刺さっちゃうようです。長旅ですから靴で失敗したくないですよね。
詳しく理解できました。
ありがとうございました。
@明日も休み
いえいえとんでもないです。個人的な偏りもあるのでランニングシューズも悪くはないとは思ってます。