#43 訓雨

#43 訓雨

龍光院を後に龍光寺へ。龍光院では他に参拝の方はありませんでしたが、龍光寺では老若男女問わず入れ替わり立ち替わり参拝の方が訪れていました。
お参りする方々をぼんやりと眺めながら、お遍路には年齢も性別も国籍も関係無いのだと改めて実感しました。

龍光寺で前のお遍路さんと当日ニ度目の再会。境内のベンチに並んで座り、まだ持ちそうですねと空の様子を窺いながら暫しの雑談。
お先に失礼しますと仏木寺へ向かう為入り口の鳥居を潜りましたが、この先への遍路道が見当たらず地図を確認すると境内の中から続いているようでした。
引き返すと駐車場の奥、墓地の中に道標を見つけてそちらへ。この辺りから降雨の間隔が徐々に狭まり雨足も強まっていきました。

仏木寺への道中、小さな橋を渡り田園地帯の中を進んでいると前方にこちらへ向けてカメラを構えている方の姿がありました。何かあるのかと辺りを見回しても分からずそのまま進んで行くと、レンズに追われている事に気付き撮られているのだと判りました。

雨の中傘も差さず畦道にしゃがみ込んでカメラを構え、「何処から来たの!」との呼び掛けに出身地をお答えして。足を止めようかと思いましたが、歩いているお遍路さんの姿を撮りたいのだと分かり、足を止めずにそのまま通り過ぎました。
何か背筋を正されるような思いでした。

仏木寺門前に着くと頭に手をかざして車に飛び乗る方の姿。雨勢が更に増しつつありました。
境内へと入り納経所の隅に荷物を置かせて頂き、あちこちに出来た水溜りを避けながら参拝を済ませ押印墨書を頂いて。
ここで三度目。前のお遍路さんと再会し、ここから暫く一緒に歩いて行きました。

仏木寺参拝後からいよいよ本降りとなり、これ以上はとポンチョを被りましたがその後更に雨足が強まり土砂降りの様相。ポンチョから露出している部分はあっという間にズブ濡れになり靴も見事に水浸し。

ここまで来ると濡れる事など最早どうでも良くなり、映画「雨に歌えば」のシーンが頭に浮かんで何だか楽しくなってきました。躊躇無く水溜りに足を踏み出し車が跳ね上げる水飛沫もなんのその。

雨には雨の時にしか顕えないものがあるのだと教えられたような気がしました。

報告する

こんな記事も読まれてます

コメント

  1. 雨は大変でしたね。この先の歯長峠のお話も気になります。

  2. 私は本降りではなかったですが仏木寺門前や境内の写真が私が見た光景と似ていたので懐かしく感じました。この先の歯長峠の存在を知らず、のんきに出発したものの荒れた道という心の準備がなかったので倍疲れたような気がしました。

  3. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    四国遍路を始めてからこれまでで一番の降りでした。普段なら雨に濡れるというのはあまり心地の良いものではありませんが、この時は童心に返った様な少し笑いも込み上げてくる不思議な感情でした。
    次回もご覧頂ければ幸いです。

  4. @考え中
    コメント有難う御座います。

    晴れの日は勿論ですが、雨の日は特に記憶に残っている様な気がします。
    私も歯長峠については崩落している箇所があるという程度しか知らなかったので少々面喰らいました。

コメントするためには、 ログイン してください。