山頂には一柱の石碑があり片側には
『北 土佐国 境』もう一方には
『南 伊予国 境』の文字が刻まれていました。
ここは社殿のすぐ脇から少し登った場所の為、ここが篠山の最頂部なのかもしれません。
参拝と休憩を済ませて下山開始。もう少しここで足を留めていたかったのですが、当日は津島町岩松までの行程であった為已む無く先へ進む事となりました。
社殿から石段を下って少し、右方向に津島町方面への道標があります。ここから秡川温泉の舗装路へ出るまで約2時間。下りはその距離よりも体感長く感じました。
表面がツルツルとした落ち葉と枯れ枝が堆積した斜面のため非常に滑り易く、これまで遍路の山道で転んだ事は一度もありませんでしたが下山まで3回程尻もちをつきました。
途中から森を抜けて伐採地帯へ出ますが、散乱した岩や枯れ枝に何度も躓き歩き辛い区間でした。終始急斜面で所々に迂回路も作られていますがこちらも然り。以前はしっかりとした遍路道があったような痕跡が伺えましたが、整備の手が足りていないのか荒れてしまっているようでした。
永遠かと思えるほど続く急坂と悪路。
奈落の底へと降りて行くかの様でした。
この下り道で"これは逝ったな"と、数日前から違和感のあった左足親指の爪が剥離した感覚に気付きました。
斜面の所々には伐採時に出た不用材か無造作に積まれた枯れ木の山が散在し、いつ崩れてもおかしくないような状態。
木材搬出用か道が造成されていますが現在は使われていないのか、道を横切るように深く大きな溝が幾つも刻まれていました。
杖を突いていると突然30センチ程沈み込むような場所もあり、金剛仗や登山用のストックなどがあった方が安全かもしれません。
12時過ぎ頃。
この道に終わりはあるのかと思いながらひたすら下っていると遠くから川の流れる音が聞こえはじめ、程なくして清流が現れ川岸には弘法大師像がお祀りされた小さな御堂が。川を渡って舗装路へ。
無事篠山を越えられた事に安堵し、後ろへ向き直り感謝合掌しました。
コメント
荒れてるのもそうですが、元々険しい道なのですね。尻もちで済めば良いですが捻挫などで怪我したら大変そうに感じました。それも含め、一度見てみたいとも思いました。情報ありがとうございました。
興味深く読ませていただきました。滑りやすい斜面や伐採地帯でのご苦労は、行ったことがない私にも伝わってきます。こんな経験をいつかはしてみたいと思いながら、これからも旅の記録を楽しみにしています。貴重な体験を共有してくださり、ありがとうございます。
@考え中
コメント有難う御座います。
大した情報でもありませんが御参考になれば幸いです。
下り道の中ではここまでの遍路道中で1番という印象でした。
しかし逆打ちでこの道を上がって来る方もいらっしゃるのでしょうから、本当に凄いなと思います。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
歩かれた事のある方にとっては蛇足でしょうが、これから歩かれる方や四国遍路に興味を持たれた方に拙い文章と写真で僅かでもお伝え出来ればと思っています。
大した経験でもありませんが、今後も道中での見聞や感じた事を書いていければと思います。
私も昨年11月にこの灘道を通りました。石標からしばらくは尾根伝いに行くのですが、しばらくしてから下り坂になります。約800mから一気に急坂をくだるので私も足を痛めました。お大師様にたどり着く直前におおきながけ崩れの箇所がありませんでしたか?そこでコントみたいに足が滑って転びました。大けがをしなくてよかったです。私は、みまきガーデンに宿泊したのですが昨年12月に廃業となってしまいました。この灘道を通るおへんろさんはただでさえ少ないのですが、ますます通らなくなるのではないかと危惧しています。
@ぁっぃゃっトマト
コメント有難う御座います。
篠山を歩かれたのですね!
仰るようにお大師様の御堂に出る手前、崖崩れの様な大きな岩が散在している箇所があった様に思います。
本当にこの道で合っているのかと思いつつ、微かに聞こえる川の音に大丈夫だと確信したのを覚えています。
思い返せば他の遍路道に比べ、登り下り共に人の歩いた痕跡が薄い道だった様に思います。
道が廃れていってしまうのは残念な事ですが、それもまた遍路であり、お釈迦様が説かれた一切は移ろい変わりゆくものだという事を体感する機会なのかもしれませんね。