#34 空と雲と海と

#34 空と雲と海と

夜通し続いた雨は宿を出る頃には止み、青空を窺わせる空色へと変わっていました。
この日は土佐清水の宿「久百々」まで。朝食は頂かず6時に出発しました。

宿からすぐの井の岬を『四国の道』へ。遍路道を行くのも良いのですが、時には少し道を外れてみると意外な出会いや発見があって面白いものです。

歩を進めて鞭海岸へ着くと寄せる波と戯れるサーファーの姿が波間にあり、松原の中を進みながら海亀が産卵に来る旨記された看板に南国らしさを感じ、改めて四国の豊かな自然を想いました。

途中対向から来た3人連れのライダーさんに金剛仗を掲げて「ヤエー」してみたところ、先頭の方は戸惑いながらもお辞儀で、後ろのお2人は手を上げて返してくれました。

1人で歩いている時は考え事をしたりお経や真言を唱えたりと、こうした時間も好きですが人との触れ合いも良いものだと感じます。
「ヤエー」はお互いに名乗る事も言葉を交わす事もない一瞬の一期一会ですが、それがまた"旅をしてるんだなぁ"と実感する瞬間でもあったりします。

17時半頃「久百々」へ到着。お出迎え下さったのはとても気さくな宿主様。
お部屋へ御案内頂き荷を下ろして早速お風呂へ。脱衣所へ入るとゴミ入れには沢山の湿布が。皆さん満身創痍なんだなと、同志のようなしみじみとした気持ちになりました。

お風呂を頂いてから一階の座敷で夕食。
既に3名の方が席に着き、御食事や晩酌をされていました。
壁際の本棚にはお遍路にまつわる書籍が並び、かつてのお遍路さんの写真などが多数飾られていました。

この日同宿となったお一人とはこの後各々違う道を歩きながらも、8日目までの数日間で何度もお会いする不思議な御縁となりました。

「久百々」の前は道路を挟んで東向きの浜になっていて晴れればきっと素晴らしい朝日が見られるだろうと、翌朝の日の出を愉しみに床に着きました。

報告する

こんな記事も読まれてます

コメント

  1. 多くの自転車さんもすれ違いに手を振ってくれて励まされました。

  2. 出会った方が何度も会うのはあるあるですね。初めはお互いに意識しつつも話はしなかったのがそのうち会釈、挨拶、雑談と、段々と打ち解けあったのはいい思い出です。

  3. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    手を振ってくれたり会釈して下さると嬉しく励まされますよね。初めの頃は自分からヤエーするのに気恥ずかしさもありましたが、今では積極的に挨拶するようになりました。

  4. @考え中
    コメント有難う御座います。

    仰る通り、初めはお互いに距離感があるのですが次第に打ち解けて一緒に歩いたり、時には別れてまた別の場所で再会したりと面白いものですね。

コメントするためには、 ログイン してください。