海禅寺を後に、程なくして泰山寺へ到着。
広々とした境内に本堂や大師堂などが並び、明るく開放的な印象の御寺様。
納経を済ませ本坊前のベンチで携行食をかじりながら休憩していると、俄かに強い風が吹き群雲が現れて急に肌寒くなり、再び上着を着て出発しました。
続く栄福寺も泰山寺から近く、何の気なしに歩いていると着いてしまいました。
竹林に抱かれた、どこかホッとする様な印象の御寺様。吹き付ける冷たい風に晒されながら参拝を済ませ、かじかむ手に息を吹きかけながら納経所へ。
納経帳に押印墨書頂くだけでも巡礼の証として十分なのですが、欲深い私は他に何か記念になる物をと、各御寺の手拭いを蒐集しています。
取扱いの無い御寺もあるので、全てというわけではありませんが、後々当時を思い出しながら使っていこうかと思っています。
栄福寺から仙遊寺へ。すっかり雲に覆われた寒々とした空の下を進んで行きました。
犬塚池付近では工事により遍路道の迂回措置がとられており、どの程度距離が延びるかと思いましたが、気にする程のものではありませんでした。
仙遊寺の少し手前。道端に建つ遍路小屋を見つけて足を止めました。
中を覗くと壁には三枚の張り紙。
その中の一つ「はやく歩くか」で始まる一文は、一回目の区切り打ちで平等寺すぐ傍の「山茶花」に泊めて頂いた時に初めて目にした言葉でした。
誰が残した言葉なのか判りませんが、こんな所でまた出会うとはと、初めて目にした日のことを懐かしく想いました。
舗装路から仁王門を潜って登りの遍路道へ入り14時半頃、仙遊寺へ到着。境内からの景色も良く、到着した頃には晴れ間も覗いていました。
この日は一日を通して天候がコロコロと移り変わりましたが、その分様々な空の様子を見る事が出来たので私としては大満足でした。
御寺で参拝している時間も良いものですが、道中の何気無い風景もまた心に沁み入り、普段では考えない事や新たな気付きをくれるので、やはり自然は偉大だと思う瞬間だったりします。
この日も地元のスーパーに立ち寄り、タイムセールの食品を購入して宿へ。
部屋の窓には、山際に吸い込まれていく夕陽と緞帳の様に窄まっていく雲が映り、そういえば今日は大晦日だったと、令和五年が静かに幕を下ろしました。
コメント
私は年越しで遍路をした経験はないですが、テレビをダラダラ見ているくらいなら普段とは違う遍路も年越しもいいなと思いました。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
門松が飾られていたり初詣の参詣者で賑わう札所の様子は、普段とはまた違った良さがあるのでしょうね。
三が日の、あのゆったりとした空気感を、地元ではない町で過ごすのは新鮮な感覚でした。