#36 月山神社

#36 月山神社

翌日。「青岬」を出発して、先ずは当日の目標である月山神社へ。黄色の地図にあった「不文律」の文言に惹かれて篠山神社と共に足を運んでみることにしました。

宿から少し行くと舗装路を外れて遍路道へ。
『お遍路あるある』顔に絡みつく蜘蛛の巣が今日初めての通行者だと報せてくれます。
中浜周辺に出ると加工場から鰹節の良い香り漂い、足を止めて少し深く呼吸してみました。この辺りは中浜万次郎(ジョン万次郎)生誕の地としても知られているようです。
シダの生い茂る遍路道はこれまでの道とはまた違った趣があり、旅から旅へ四国の地を巡っているのだという事を感じさせてくれます。

昼時になり「めじかの里」近くのローソンで「青岬」の女将さんが持たせてくれたお弁当を開くと、おにぎりが3つと女将さんからのお手紙。前日の「久百々」から続くお心遣いに只々有り難く、感謝しました。

その後、海岸沿いをひたすら西へ。室戸周辺とはまた違う海の表情は、写真では捉え切る事の出来ない"あお"。

暫く歩いて叶崎トンネル付近で腰を下ろして。時折車やバイクが通りますが、遠ざかれば黒潮の寄せる音だけが辺りを満たします。当日は23℃程の予報でしたが陽射しも相まって最早夏の様相でした。

大浦の分岐から先、月山神社への「大月遍路道」へと入って行きますが、この道は定期的に整備されているのか歩き易い印象でした。道標も多く地元の子供達手作りの札が連なり、その微笑ましい絵札に励まされながら進んで行きました。

終盤に小川を渡り舗装路へと出ましたが、ここで何か"気"の違いの様なものを感じました。

早朝の遍路道や山道に入るとまだ誰も通っていないと感じる事が有るかと思いますが、この場所ではその"気"が何倍も濃密に感じられ、空気が混ぜられていない整然とした何とも言い難い静謐さに満ちていました。

この道を進んで行くと程なくして月山神社へ到着。人里離れた山深い森の中にひっそりと立つ社殿。本殿の隣には大師堂。

参拝を済ませて境内の樹木を剪定していた神社の職員と思しき方に御挨拶して「初めてのお遍路なのですが…」とお話しすると、
「ちょっと待って下さいね。」と社務所内に向けて一言二言。
暫くして中から女性の方がおいでになり、「現在手書きはしていないのですが、昔から伝わる印を押したものが有ります。」と、御朱印符を拝受しました。

月山神社を後にして更に先へ。当初「樫西キャンプ場」で野宿を、と考えていましたが残念ながら当日が丁度定休日となっていた為、已む無くその先で宿を取る事にしました。

道すがらの景観も素晴らしく、ずっと眺めていられる、そんな景色ばかりでした。
道沿いの待避所の様な場所で小さな椅子を出して缶ビールを煽りながら海を眺めているバイカーの方を見かけて、絵になるなぁと思いながら視線を送っていると目線が交わり御挨拶して暫しの雑談。
ステッカーいっぱいのパニアケースを載せたクルーザータイプのバイク、白髪がちの長髪を後ろで束ねレザーのベストにジーンズ。その出立から旅慣れた方だと伺え、今日はこの場所でテント泊との事でした。

バイカーの方とお別れしてから更に歩を進めて18時頃「ベルリーフ大月」へ到着。当日の総歩行距離は約42km。四国遍路を始めてこれまでの最長距離となりました。

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コメント

  1. 足摺から宿毛に向けてのコース選びは悩みました。三原村も風情あってのんびり歩けましたが、大月方面も魅力たっぷりですね。単純に最短で進める方を選んでしまいましたがせっかくの旅ならそんなことは気にせず選んだほうが本当はいいですよね。次は大月コースを海を眺めながらのんびり歩こうと思っています。

  2. 自分はこのコースではなく打ち戻りを選びましたが、写真を見るとなかなか景色が良いルートだと思いました。
    次に行くなら大月コースを選びます!

  3. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    三原村の方も気になっていたのですが、良い所なのでしょうね。各々がそれぞれ道を選びながら進んで行くというのもお遍路の醍醐味の一つなのでしょうね。
    2日目から宿毛までの数日間は天候にも恵まれ気持ち良く歩くことが出来ました。

  4. @ひろ(歩き)
    コメント有難う御座います。

    本当に景色が素晴らしいのでお勧めです。
    確か大月遍路道の途中に逆打ちの方が近くの浜で拾った石を積んで行かれるという場所があるのですが、こちら側を逆打ちで歩かれる方もいらっしゃるのかと驚きました。

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