#46 二度目の夏

#46 二度目の夏

5回目出発当日。
明け方の猛烈な雨は家を出る頃にはピタリと止み、晴れ間が差していました。
最寄駅のホームに立つと、彼方には濃灰色の群雲を足元に従えた積乱雲が聳え、台風の足音を報せている様でした。
出発前、台風6号の一悶着もあり復路の天候も気になるところでしたが、先の事を憂いたところで何の意味も無いと、天気予報を見るのをやめました。

毎度お世話になっている羽田から今回は松山空港へ降り、バスと電車を乗り継いで再びの卯之町へ。
駅到着後、白衣に着替え駅舎外のベンチで足にワセリンを塗り、靴紐の具合を確かめて5回目の区切り打ち開始。
初日は明石寺へ遍路再開の御挨拶から、翌日の別格七番出石寺への参拝に備えて大洲市街まで。

卯之町駅から明石寺までの僅かな距離を歩いただけでもじっとりと汗ばみ、前夏の道を思い出しながら同じ轍は踏むまいと、十分な水分と塩分を携行し、小まめな休憩とストレッチを繰り返しながら歩を進めて行きました。

曇り空からパラパラと降り止みを繰り返す空模様。柔らかい雨粒が体を冷やしてくれました。
途中の小さな植物園で少し休憩をと、靴を脱いでベンチで横に。
陽射しは強いですが気温はさほどでも無い様に感じられ、雨の冷気を含んだ心地良い風を体に受けて、あまりの気持ち良さにうつらうつらと眠ってしまいました。

暫くして「いかんいかん」と起き上がり再び歩き出すと、俄かに雨足が強まりましたが、またすぐに止むかとポンチョは着けずに歩きました。

大洲へ向けて国道沿いを歩いていると、白衣を着たバイク遍路の方が追い越しながら振り返り、何度も手を上げてヤエーして下さいました。
こちらも負けじと金剛仗を掲げて応答。有難く励まされました。

大洲城と鵜飼観光の屋形船を横目に肱川を渡り、当日の宿「ホテルオータ」へ到着。
夕食の買い出しの帰りがけ、南の空に見えた虹に明日は晴れそうだなと、何となくそう思いながら宿へと戻りました。

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コメント

  1. 私はこれまで大洲という町を知らず、このまま山の方に向かって大寶寺まで寂しく進んでいくものかと思いましたが、意外にも大きな町に驚きました。普段はあまり食べないマクドナルドを見て、急に食べたくなり、久しぶりにと、ちょうど小雨もあって雨宿りしたのを思い出しました。

  2. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    私も大洲という町を全く知らなかったのですが、大洲城と下を流れる川の景色が印象に残っています。

    確か肱川を渡る橋の近く、道沿いに醤油を醸造している会社があったと思いますが、翌日出石寺へ向かう途中に蔵から漂って来た醤油の香りを今もよく覚えています。

  3. 大洲では霧が有名みたいですが運良くその霧を体験することができました。町全体を覆い数メートル先の視界を遮るほど白かったです。鵜飼も有名みたいですがそちらは見れなかったです。

  4. @考え中
    コメント有難う御座います。

    大洲は霧も有名なのですね!本当に知らない事ばかりです。霧掛かる風景もきっと幻想的なのでしょうね。
    私が見た鵜飼の観光船は岸に繋がれた昼の姿でしたが、夜、肱川に篝火を焚いた鵜舟が浮かぶ姿を想うと、これもまた情緒があるのでしょうね。

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