今を生きる

今を生きる

先日のお盆休み期間中に区切り打ちの続き、愛媛県の卯之町から松山までを歩いてきました。

西日本を襲った2度の台風の間隙を縫う様な巡礼となりましたが、今回は札所以外に道中で訪れたいと思っていた場所に足を運ぶ事が出来ました。

長野県駒ヶ根市赤穂。
甲斐駒ヶ岳や木曽山脈などに懐かれた自然豊かなこの地は、父方祖父母の郷里です。
小学生の頃、夏休みに祖父母と家族とで叔父の家へ泊まりがけの旅行に、よく連れて行ってもらいました。

東京で暮らしていた祖父が亡くなり遺骨を郷里へ還す為、家族と母方祖父母と共に駒ヶ根に在る菩提寺を初めて訪れたのは、確か高校生くらいの頃だったと思います。

御寺へ到着してから法要が始まるまでの間、周辺を歩いていると、母方の祖母が御寺の掲示板の前に立ち、熱心に何かを書き留めていました。
その姿が気になり祖母がその場を離れた後、何があるのかと近づいて見ると

「咲くも無心 散るも無心 
         花は嘆かず 今を生きる」

と、墨書された紙が張られていました。
その詩が深く心に響き、今日まで記憶から消える事なく残っています。

只、この詩は誰が詠んだものか、ほんの一年程前まで知る事は有りませんでした。

四国遍路を始めてから仏教について改めて目を向けて行く中で、ある一人の詩人を知りました。

坂村真民

今はもう鬼籍に入られていますが、素敵な詩を沢山残されています。
その数ある詩の中に祖父母の菩提寺で見た、あの詩がありました。

二十数年の時を経て繋がった瞬間でした。

何とも言いようの無い不思議な御縁だと、そう思わずにはいられませんでした。

坂村真民氏は愛媛県砥部町に由縁のある方で、四国八十八霊場四十六番、四十七番札所から程近い場所には記念館が建っています。

岩屋寺から浄瑠璃寺へ、三坂峠の遍路道を経ずに国道33号線をそのまま下って行くと砥部町に出ます。
道中の交差点には大きな案内看板が立ち、念願であった坂村真民記念館に立ち寄る事が出来ました。

氏の詩と墨跡を間近に見る事が出来たのは有難い事でした。

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コメント

  1. 四国遍路を色々追っていくと四国にとどまらずいろんなところで繋がりを見つけられ、その度に面白いものだと感じます。

  2. @考え中
    コメント有難う御座います。

    そうですね。これから先の道でも新たな発見や御縁があれば良いなと思います。

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