#23 灼熱

#23 灼熱

御厨人窟を出発して少し先にある駐車場のトイレで顔を洗い歯を磨き、すぐ側の遍路道へと入って最御崎寺へ。

7時を少し回った頃で境内を掃除をされている方以外人影は無く、閑かな中参拝を済ませました。

納経を済ませて傍のベンチで身支度をしていると山門の方からお遍路さんがお一人。
その出立から歩きの方だとすぐに判りましたが、上下白衣を着ている方は珍しかったので目で追っていると首からカメラを提げていらっしゃいました。

決して軽くは無いカメラや機材を携えてあの山や道を越えて来られたのかと思うと、いやはや凄い方も居るもんだと驚きました。

こちらのお遍路さんにお声を掛けて頂きましたが、なんと同県同市内の御出身という偶然。
プロのカメラマンさんという事で、お遍路で出会った方々の写真を撮っていらっしゃるとの事でした。

最御崎寺を後に山を下り先へと歩を進めましたが、寝不足の体に容赦無い熱射と高温の鞭。

津照寺での読経中、白衣からポタポタと滴る程の発汗量に"ちょっとマズイかな"と苦笑い。
文字通り「焼かれる」ような陽射しに、目の前の光景が白く霞んで見えました。

この日、最御崎寺で出会ったカメラマンお遍路さんの言葉に再度宿の手配を試みました。
お話の中で、やはり取り難いですが諦めずに片っ端から電話を掛けて何とか取れています、という言葉に押されて電話を繰り返し、何とか当日の夜床を見つける事が出来ました。有難い事でした。

宿地は奈半利。
宿が取れた事に安堵しましたが、この酷暑の中を進む事を考えると気は抜けませんでした。

南国高知という土地柄の為か徳島とはまた違う植生と、聞いた事の無い鳥の鳴き声。
道沿いに植えられた赤や白のハイビスカスが精一杯咲く姿に、暑い暑いとばかり言ってられんなと励まされる思いでした。

塩タブレットを嚙りながら水分を切らさない様にと自販機で補給しつつ、金剛頂寺を経て奈半利まであと少しの所。

左後の海上から突如黒雲が流れ来て頭上を覆い、一雨来るかと構えるもポツリポツリと落としながら通り過ぎて行きました。

歩きながらその行方を追っていると、右前方の山際へと向かい山頂に差し掛かったかと、思った瞬間に地上目掛けて一閃。
雲の下は白く霞み、そこだけ雨を降らせている様でした。

普段であれば何とは無い光景なのかも知れませんが、この時は何故か暫く立ち止まってしまいました。

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コメント

  1. 私も思い出の写真を取ろうとはじめは意気込んでましたが、疲れてくるとその枚数がだんだん少なくなってきました。その方と比べればぜんぜん重くもないスマホなのですが。

  2. 室戸から先は距離感がなかなか掴めなく計画に苦労した記憶があります。それに伴い宿探しも難しかったです。

  3. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    歩く事に集中していたり疲れていると、写真を撮る事を忘れてしまったりというのはよく有りますね。
    惜しい事をしたと思い出す場面が幾つもあります。

  4. @考え中
    コメント有難う御座います。

    私も2日目以降の計画は悩みました。
    帰りの飛行機の日時は決まっていたので、それまでにどう行程を割り振って歩いて行くのか、そして宿はどうするのか。
    それでも日々目にする素晴らしい景色や一期一会の御縁に支えられて、無事目標地点まで歩き切る事が出来たのは良い思い出です。

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