#49 大洲〜内子町小田

#49 大洲〜内子町小田

翌日。
この日の行程は、大洲から内子の街を経て久万高原手前の小田という町まで。若干短めの距離ですが、翌日の大寳寺から岩屋寺への峠道などを見据えて休足日としました。
予想最高気温は34℃ 天候は晴れ。シンプルに暑い日でした。

内子の町へ入ると往時を偲ばせる街並みが残っており、まだまだ知らない町が沢山あるのだなと驚かされました。

水戸森峠へ入るつもりが、気付いた頃には遍路道を見逃して引き返すのも躊躇われるほど先まで来ていたので、そのまま国道を行く事にしました。

右に左にと、道と川とが編む様に入れ替わりながら東へ進んで行きます。時間と共に纏わり付く様な暑さが増していきましたが、横に目をやれば小田川の翠く豊かな流れが目を涼ませてくれました。
大瀬という地区へ入ると、岩場に立ち竿を振る釣り人や、流れの緩やかな浅瀬で遊ぶ家族連れの姿。
お遍路中でなければ、いっそ飛び込んでしまいたくなる様な涼やかな光景でしたが、まずは目的を忘れまいと歩を進めました。

途中、軽トラックに乗った地元の農家の方がお声がけ下さり、「暑い中ご苦労様です。お接待するもの何も無いけど、無理せず休憩しながら行ってください。今年の暑さは次元が違うよ。」と、お言葉を下さいました。やはり地元の方でも異常を感じる程、この夏は酷暑なのだと思いました。

水分補給を小まめに行いながら定期的に休憩をとり、当日の目的地まで順調に距離を縮めていました。自販機も割と散在していたので、この先にもあるだろうと、水分を確保するのを先延ばしにしていました。
しかし、この選択が裏目に出て終盤に水が底をつきました。

気付けば山間の住居も疎な場所を歩いていた為、そんなに都合良く自販機や商店などある筈もありません。熱射の為か、軽い頭痛と眩暈。容赦無い陽射しが肌を焼き、二の腕がチリチリと痛みを伴い赤黒く変色していました。
"これはまずいな"と、体力の消耗と発汗を抑えようと歩速を落とし、もしもの時はと横を流れる川に視線を送りました。

その後、どうにか小田のAコープまで辿り着き、水分を補給することが出来ましたが、やはり夏の遍路を甘く見てはいけないのだと再認識し、自省しました。

16時頃、当日の宿「ふじや」へ到着。
玄関から声を掛けると、奥から女将さんがお出でになり「こちらへどうぞ」と、土間伝いに別の上がり口へ。

靴紐を解き下駄箱へ、と目をやると、ランニングシューズが一組。"もしや"と思っていると、丁度2階から降りてきた方の真っ赤な顔や腕を見て、お遍路さんだとすぐに分かりました。

同宿となったこの方とは、翌日一日を通して一緒に歩く事となりましたが、この御縁も心に残るものとなりました。

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コメント

  1. 大瀬の道と並行した少し大きめで澄んだ水が流れる川を見ながら歩くのは気持ちよかったです。道の駅に立ち寄りたかったので私も水戸森ルートを通らなかったのですが、春は桜が綺麗だそうで次はこちらを歩いてみたいです。

  2. 最後の最後までひわだ峠にするか、農祖峠にしようか迷って結局ひわだ峠にしたのですが、山と川が近くて雰囲気の良い道でした。小田の町並みや農祖峠超えも気になってましたが、一つの道しか選べないのもこれまた遍路ですね。

  3. @考え中
    コメント有難う御座います。

    仰る通り、大瀬やその周辺は本当に自然豊かで、横を流れる小田川が見たことの無い美しい色だったのを、私もよく覚えています。
    水戸森ルートは桜が綺麗なんですね!
    私も次に歩く機会があればそちらを通ってみようと思います。

  4. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    ひわだ峠を行かれたのですね!
    仰るように、どのルートを行くのか悩みますが、それも遍路の醍醐味の一つですね。
    宿の関係で小田の方へ進みましたが、ひわだ峠や農祖峠も機会があれば歩いてみたいです。

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