#33 雨

#33 雨

冬の打ち止めから約4ヶ月後の2023年4月末。
4回目の区切り打ちへと出発しました。

羽田を発って高知空港へ9時半に到着。預けた手荷物を拾ってすぐにバス停へと向かいチケットを購入して乗車すると、満席の為定刻よりも早く出発しました。
外は小雨が散り、時折強まり。五台山に聳える竹林寺の五重塔を車窓に、再び四国に戻った事を実感しました。

丁度1年前の同月同日から始めた四国遍路徒歩区切り打ち。
不安や期待の入り混じった出発前のソワソワした感覚も、回を重ねる毎に徐々に薄れているように感じます。

4回目の出発前はまだ浮足立つ様な感覚が少しありましたが高知から窪川までの列車に揺られている間、窓に流れていく雨粒と景色をぼんやりと追いながら、これから9日間で約300kmを歩くという実感が無く、緊張感も高揚感も無い妙に落ち着いた心境になっていました。

列車の中で着替えを済ませ再びの窪川で下車。駅舎を出て岩本寺へ向かって歩いていると、しっかりと濡れる程度の雨量へと変わっていました。4ヶ月ぶりの岩本寺はお遍路さんが引も切らずに訪れていました。

三十八番金剛福寺までは途中二泊する計画を立て、1日目は黒潮町の「民宿白浜」まで。
道沿いの草むらや田んぼからは雨蛙の大合唱。雨は止む気配無く、暫く歩くと靴の中までしっかりと濡れました。

岩本寺から宿までおよそ22km。13時半に岩本寺を出たので宿着は19時頃と読み、休憩はなるべく取らずに歩く事にしました。
途中、後ろから来たバイクの方に金剛仗を掲げて「ヤエー」してみると有り難く返して頂けました。(ちなみに「ヤエー」とはライダー同士がすれ違う際にピースサインや手を上げて挨拶する事です。)

昨夏、室戸岬までの道中で数名のライダーの方からヤエーを頂き励まされたので、こちらからも挨拶してみようと思っての事でした。

宿着は18時半過ぎ頃。雨天もあり、辺りは既に暗くなっていました。
同宿は全員歩き遍路の方で、スイス人、台湾人、日本人2人の計4名。スイスの方は日本在住で大学の講師、台湾の方はお遍路経験者で今回は歩き遍路の基本野宿との事。
お二方とも日本語がとても流暢で、一階の食堂で夕食を頂きながら出身地や道中のあれこれなど会話に花が咲きました。

夕食を終えて部屋へ戻り、靴に丸めた新聞紙を詰め濡れた白衣を洗濯して翌日の行程を確認。
初日にして両足裏の痛みと右足踵にマメが出来ましたが動けない程では無かったので、まあいつもの事かとあまり気に留めませんでした。

全9日間の内、6日間は雨予報でのスタートでしたが、最終的には半分以上は降られることなく進む事ができました。
それでも4回目の区切り打ちは「雨」というものに、何か教えられた様な道でした。

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コメント

  1. 私も雨が多かったのですが、途中出会ったお遍路さん同士で東屋で励まし合った事など、雨だからこその思い出もたくさんあります。

  2. 雨の日の県道や国道は車の水ハネで嫌になりますすが、静かな田舎道は水たまりを避けながら先を急がずのんびりと歩くのが好きです。

  3. @あの時の亀
    コメント有難う御座います。

    励まし合ったというお話し、とても良いですね。
    数日後に土砂降りのなか歯長峠を越えたのですが、その時一緒に歩いていたお遍路さんの後ろ姿に励まされ引っ張られていたように思います。

  4. @考え中
    コメント有難う御座います。

    車道脇などを歩かざるを得ない場所は車の水ハネは避けられませんよね。
    田舎道は私も好きです。仏木寺までの道中、田園地帯を抜けながら行手の山に低く掛かる雲や田んぼの水面に次々に波紋を残しては消えていく雨粒を見て、何かしんみりと感じ入るものがありました。

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