前のお遍路さんに道を委ねていたので、農祖峠へは行かずに380号線を進み、33号線へ左折北上して大寳寺へ。少し遠回りになるかと思いましたが、ほぼ予定していた時刻に到着しました。
巨大な山門に圧倒されつつ境内へ。いつもの如く本堂大師堂と参拝を始めますが、やはり30分程かかってしまいます。
参拝を終えて石段を降りて行くと、連れのお遍路さんは納経所の前で腰掛けて、嫌な顔ひとつせずに待っていて下さいました。
大寳寺からすぐの遍路道へ入り、少々の峠道。
「俺、遅いからお先にどうぞ。」と促されて先に進むも気掛かりで、時折後ろを振り返りつつ、姿が見えるまでは足を止めながら峠を越えて行きました。
下り切って峠御堂トンネルの脇へ出るとベンチが見えたので、ここで待とうと荷物を下ろし、峠の半ばからついてきたアブと格闘していると、「結構待った?」と峠道から出て来られました。
再び一緒に歩き出し、この先の道についてあれこれ。私は八丁坂の遍路道を行き、戻りは県道を行くルートでしたが、連れのお遍路さんは行きも帰りも県道一択でした。
八丁坂へ入る手前の県道と遍路道の分岐で休憩をとり、「では、御寺様で。」と一旦お別れしました。
一緒に歩くも、時には別れて。お互いに干渉しすぎないスタンスも、この方とは合うところでした。
八丁坂を行く方が幾分早いのかなと思っていましたが、岩屋寺本堂前で再会というほぼ同着の結果でした。
序盤から急坂が続き、越えたかと下っているとまた登りの繰り返しで、最終的に岩屋寺の三十六童子行場や赤不動、逼割禅定前を通り過ぎて大師堂奥の仁王門へ出ました。
一方、県道ルートは緩やかな下りが続き、岩屋寺下の駐車場へ。そこから本堂の立つ場所まで、数百段という階段を上がって行くというものでした。
参拝後にこの階段を下って行きましたが、八丁坂ルートを選んでよかったと思える程、えげつない段数でした。(下の駐車場から境内まで約700m、20分の道程との事です。)
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逼割禅定は時間の都合で已む無く断念。想像を超える見上げるような岩場には圧倒されました。
巨岩が林立する中に立つ岩屋寺は、何か異世界の様な不思議な空間だと感じました。弘法大師然り、時宗宗祖である一遍上人なども山籠修行されたというのも頷けます。
当日は「一里木」へ宿をとっていましたが、連れのお遍路さんから、「八丁坂とか古岩屋荘も部屋空いてるみたいだから、電話してみれば?」と助言を頂きました。
実はこの回の区切り打ち出発前に、久万高原付近の宿手配を試みたのですが、部活の合宿などが入るとそちらを優先したいと、何軒かの宿からギリギリまで予約は待って欲しいと告げられ、已む無く少し先の「一里木」をとっていました。
岩屋寺に到着した時点で体力的には問題なかったのですが、助言を頂いて、そんなにしゃにむに歩く必要も無いかと思った事に加え、前日の宿「ふじや」の女将さんから、「一里木」の御主人が体調を崩されていると聞いていたので、無理に泊めて頂くこともないかと考えを改めました。
キャンセルの電話を入れ「勝手を言って申し訳ありません。」と深謝すると快諾して下さり、続いて「八丁坂」へ電話。「いっぱい空いてます!」と、有り難く宿を取り直す事が出来ました。
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岩屋寺を後に県道を大寳寺方面へ。連れのお遍路さんは古岩屋荘に宿をとられていたので、そこまで御一緒しました。
お別れ際、「ありがとな!」との言葉に「こちらこそ、ありがとうございました!」とお返しして。
最後まで名前や連絡先など、お互いに知ること無く、聞くこともありませんでした。
この先、恐らく二度とお会いする事はないであろう僅か一日の出会いと別れ。
これもまた遍路の醍醐味なのだと思いました。
コメント
私も数人の方と一緒に歩く機会がありました。私は逆に遅い方で、何度も待ってもらいました。私を待たなければもっと先に進めたはずなのに私のために嬉しかったです。お話もたくさんしましたが狭い歩道などは横に並べず前後一列で歩いて話すのですが、いつも先を見越して早歩きで前に進んでくれました。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
一人黙々と歩くのも良いですが、他の方の歩調に合わせたりお話ししながら歩くのも良いですよね。私が出会う方は年長の方が多く、色々と学ばせて頂く事があります。
一緒に歩いた方は、平地では結構早いペースで歩かれていたので、引っ張ってもらっている感じでした。
これぐらいのペースでも歩けるんだなと、ちょっとした発見でした。