他に人が上がってくる気配も無かったので鳥居の傍の岩に腰掛け、携行食をかじりながら暫く石鎚山を眺めていました。
本来ならここから「モエ坂」という道を下り石鎚山山頂を目指したいところでしたが、この時季は石鎚神社奥宮頂上社が閉まっているとの事。鳥居の前で合掌し、必ず戻って来ますと念じてその場を後にしました。
星ヶ森を後に再び横峰寺の境内へ戻り、大師堂の左手から続く遍路道へ。
若干の登りもありましたが概ね下りの道で、時折石鎚山の方を振り返りながら、何か弾む様な気持ちで歩いたのを覚えています。
途中から舗装路へ出て香園寺奥の院である「白滝」へ。道路脇に立つ案内の石柱に誘われ斜面を降りて行くと滝が見えました。
更に下へ降りると滝のすぐ前へ出る道が続いていましたが、こちらは手前に札が掛けられ立ち入り禁止となっていました。
已む無く引き返していると降りて来た斜面の途中に脇道を見つけ、そこを進むと滝の真上、不動明王像のすぐ側へ出ました。
有難やとその場で合掌していると、先程の立ち入り禁止箇所を越えて若者が二人、滝の方へと近づいて来ました。
はて?と目で追っていると、一人が滝の前で姿勢を正して目を閉じ、何かを念じているようでした。
後から来たもう一人が滝上にいる私に気付き、「お遍路さんですか?」とお声を掛けられたので、そうですとお答えしていると、先程目を閉じていた一人が服を脱ぎ白衣に着替え始めました。
それを見て、なるほど滝行かと分かり、頑張ってくださいと声を掛けると笑顔で返して下さいました。
白滝から香園寺への途中では道沿いの柿の木に登る猿の群れに出くわしました。それぞれに柿の実を頬張っていましたが、私に気付くと警戒している様子。
子猿の姿も見えたので刺激してはまずいなと、ゆっくりと近づいて行くと、声を上げながら山の中へ去って行きました。
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香園寺に到着すると多くの参詣者の姿。
初詣の時季らしいその様子を眺めながら本堂の方へと進んでいると、何となく視線を感じ「お遍路さんだ」とヒソヒソ。
そういえばと、元日に四国遍路の特番放送があると耳にしていた事を思い出し、その影響もあるのかなと思いながら荷を下ろして参拝の支度。
特徴的な御堂は大師堂を兼ねた造りになっていて、堂内に上がらせて頂き読経しました。
一通り参拝を済ませて時刻を確認すると余裕があったので、もう一つ先の宝寿寺まで足を伸ばすことに。
国道沿いにもかかわらず香園寺とは打って変わって鎮まった境内。他に参詣者もなく各御堂前で読経していると、砂利を踏む人の気配。
それから少し間を置いて突然、法螺貝の大音響。
これには流石に驚きましたが、読経中の為そちらに目を向ける事も出来ず、星ヶ森で聞いた音の主か、と思いながら参拝を終え辺りを見回しましたが、既に姿はありませんでした。
その後、当日の宿地である壬生川へ向けて歩を進めながら、左手、後方と方角を変えながらどこまでもその姿を誇る石鎚山に、さすが西日本の最高峰だと感嘆したのでした。
ホテル「AZ」さんに到着し、入浴洗濯食事と済ませて翌日の支度をしながら、テレビに映る地震の続報を眺めていました。
よりにもよって元日にと思っていると突然画面が切り替わり、羽田空港の滑走路と、何かが燃えている様子が映し出されました。
コメント
私は横峰寺の帰り道は少し時間に余裕があったこともあり、少し長かったのは想定外でしたが何か晴れ晴れした気持ちで歩けました。ここから先は舗装路が続くのでしっかり山道を味わえました。奥の院白滝も通りましたが滝行ができるのですね。
@あの時の亀
コメント有難う御座います。
私も白滝までの道は気持ち良く歩けたように思います。天候にも恵まれ、素晴らしい景色を見せて頂けたのは有難い事でした。
滝行については件の若者お二人がいなければ知る事は無かったと思います。
恐らく香園寺かどこかで許可を得ていると思いますが、正月から滝に打たれるのかと感服しました。